あたしは今の旦那と出会って結婚までは速かった。
けど大恋愛の末の結婚。
友達からも同僚からも
なんたって旦那は素晴らしくかっこいいからね!
毎日ラブラブしてて、いつだって二人だった。
うん、“だった”
………
………
過去形なんです。
今ではいつものような甘えて甘えられて、なんてしていない。
男女のイチャイチャなんて数か月にあるかどうか‥‥‥。
こどもはいないけどなんだかセックスレス。
‥‥‥あたし女としての魅力がなくなったんだろうか。
「たける~だっこ!」
「仕方ないなー」
このようなやり取りすらしない。
同じ家にいながらも、空虚感だけが増していく。
‥‥‥
‥‥‥
‥‥‥
ぴるるるる‥‥
ぴるるるる‥‥
あたしの携帯が鳴っている。
いつもならすぐに出るけど、今は起きたくない。
なんか‥‥‥ダル。
「静音。まだ寝てんのか?」
「ん-‥‥‥」
たけるだ。
なんか久々に声を聴いた気がする。
あーイケボ。
癒される。
「あー、誰だ誰だ‥‥‥あ、静音のお母さんからだよ」
「代わりに出て‥‥‥」
「代わりにって、俺これから仕事だから‥‥‥って鼻声じゃね?」
気が付いた。
確かになんか声が変だな。
「今体温計持ってくるから待ってろ」
「あ、え、いいよ。たける仕事行かなきゃ」
たけるは仕事を大事にしてるから、迷惑かけちゃだめだ‥‥‥。
「は?」
あ、やばい怒ってる。
空気感で察したあたしは身を引いた。
「俺ってそんなにひどい男に見える?体調悪い人を置いて会社行くとかしないし」
―体調悪い人‥‥‥。
あぁあたしはたけるのなんなんだろう。
人、の前にあたしはたけるの‥‥‥。
彼女なのに‥‥‥。