「あー‥‥疲れた‥‥‥」
あたしの癒しの場所、それは会社だ。
そしてその会社で楽しみの部分としては、幼馴染の
旦那のことも、あたしの本音も、全部吐き出せるんだよね。
今は独身のまなぶは、決して誰とも結婚交際はしないと言っている相手。
なぜかと昔聞いたことがあった。
その時は「俺、男らしい人が好きだからなぁ」と、微妙な回答にあたしは口を閉じた。
世の中たくさんの人がいるんだから、そういう同性の恋愛には変な偏見なんて持っていない。
そのおかげか、あたしとまなぶの幼馴染関係にひびひとつない。
「まぁた旦那母の料理か?」
「‥‥‥うん。昨日は小豆お赤飯だった」
「ふーん」
きっとまなぶママだったら‥‥‥
「母ちゃんなら、甘納豆の赤飯なのにな」
ほらね?あたしを一番知ってくれるのは、察してくれるのはまなぶなんだよね。
「まなぶママの料理食べたい」
「いつでも?」
「うん。ママに予定聞いといて」
「らじゃ」
「‥‥‥ふふっ」
「なんだ?」
「あたしを一番理解してくれるのは、やっぱりまなぶだなーって」
そういうあたしの顔をまじまじとみてくるまなぶの瞳は、
とても澄んでいる茶色の瞳をしている。
色素が薄いまなぶは、髪色も何もかも、茶色でできている。
まなぶパパの先祖の残りだろうと、以前まなぶは教えてくれたんだ。
「ありがとうまなぶっ!大好き!!」
「‥‥‥きも」
「なによ!!」
「いや、らしいな。なんでお前は俺じゃ‥‥あ、いや、なんでもない」
「んもー。なんでも話してよ。」
「いいから。ほら仕事やんぞ」
「へいへい」
あぁ、なんだかリセットされた。
これだよこれ。いつものあたしらしくなれた。
さーて、これで今日も明日も、しばらくはあの親子に耐えられるような力が残ったよ。
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「あ~~っ、疲れた」
あたしは椅子の上で背伸びをしていた。
後ろからは何度も何度のうろうろしている先輩がいた。
「う~~う~~~」
気になって気になって、あたしはつい話しかけてしまった。
「先輩?大丈夫ですか?」
「‥‥‥うぅ、桜井さん~~~っ!!」
「わわっ!!」
ちらりと目にしたのは時計だ。
時刻を見れば今は17時3分。
桜井家のルールでは、帰宅は必ず18時30分まで。
残業は基本NG。
他の誰かと食事とかの集まりは当たり前のようにしてはならない。
誰かに引き留められたことがあって、2分過ぎたところ軟禁状態になり、退社に追い込まれることとなった経験がある。
さらには屈辱的なセックスの毎日を体験。
それからは正直旦那に引いたし、それを提案したお義母さんにもドン引き。