不倫・禁断の恋

愛がある人に気付かない①

「あー‥‥疲れた‥‥‥」

あたしの癒しの場所、それは会社だ。

そしてその会社で楽しみの部分としては、幼馴染のあずままなぶになんでも話せること。

旦那のことも、あたしの本音も、全部吐き出せるんだよね。

今は独身のまなぶは、決して誰とも結婚交際はしないと言っている相手。

なぜかと昔聞いたことがあった。

その時は「俺、男らしい人が好きだからなぁ」と、微妙な回答にあたしは口を閉じた。

世の中たくさんの人がいるんだから、そういう同性の恋愛には変な偏見なんて持っていない。

そのおかげか、あたしとまなぶの幼馴染関係にひびひとつない。

 

「まぁた旦那母の料理か?」

「‥‥‥うん。昨日は小豆お赤飯だった」

「ふーん」

きっとまなぶママだったら‥‥‥

「母ちゃんなら、甘納豆の赤飯なのにな」

ほらね?あたしを一番知ってくれるのは、察してくれるのはまなぶなんだよね。

「まなぶママの料理食べたい」

「いつでも?」

「うん。ママに予定聞いといて」

「らじゃ」

「‥‥‥ふふっ」

「なんだ?」

「あたしを一番理解してくれるのは、やっぱりまなぶだなーって」

そういうあたしの顔をまじまじとみてくるまなぶの瞳は、

とても澄んでいる茶色の瞳をしている。

色素が薄いまなぶは、髪色も何もかも、茶色でできている。

まなぶパパの先祖の残りだろうと、以前まなぶは教えてくれたんだ。

 

「ありがとうまなぶっ!大好き!!」

「‥‥‥きも」

「なによ!!」

「いや、らしいな。なんでお前は俺じゃ‥‥あ、いや、なんでもない」

「んもー。なんでも話してよ。」

「いいから。ほら仕事やんぞ」

「へいへい」

あぁ、なんだかリセットされた。

これだよこれ。いつものあたしらしくなれた。

さーて、これで今日も明日も、しばらくはあの親子に耐えられるような力が残ったよ。

~~~~~~~

「あ~~っ、疲れた」

あたしは椅子の上で背伸びをしていた。

後ろからは何度も何度のうろうろしている先輩がいた。

「う~~う~~~」

気になって気になって、あたしはつい話しかけてしまった。

「先輩?大丈夫ですか?」

「‥‥‥うぅ、桜井さん~~~っ!!」

「わわっ!!」

ちらりと目にしたのは時計だ。

時刻を見れば今は17時3分。

桜井家のルールでは、帰宅は必ず18時30分まで。

残業は基本NG。

他の誰かと食事とかの集まりは当たり前のようにしてはならない。

誰かに引き留められたことがあって、2分過ぎたところ軟禁状態になり、退社に追い込まれることとなった経験がある。

さらには屈辱的なセックスの毎日を体験。

それからは正直旦那に引いたし、それを提案したお義母さんにもドン引き。

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