彼が子供の頃に受けたある心の傷
結婚してから約1年がたつ彼には、彼よりも3つ年上の奥さんがいると、答えづらそうながらも、勇気を振り絞って答えてくれた。
写真があるというので、スマホに保存してある奥さんの写真を見せてほしいと頼むと、少し困りながらもで見せてくれた。
あまり見せたがらない割りには、奥さんはモデルさん並の抜群のスタイルをしたなかなかの美人でした。
一見すると誰もが羨ましがるようなすごくいい女性を奥さんにもらったような感じに見えるけど、実際のところは、そうでもなかったようなのだ。
なぜかと言えば、普段は大人しい雰囲気の奥さんなのだけど、お酒をたくさん飲むと性格が別人格のように豹変し、暴力を振るってくるDV奥さんになるらしいのです。
彼なりに頑張ってどうにかこれまで我慢を続けてきたみたいだけど、流石にもうこれ以上は耐え切れなくなって家を飛び出して来たとか。
あちこちを転々とした後は、最後にようやくこの地に辿り着き、今は海士さんとして働いて細々と生活していた。
しかし、なぜかすぐにここの居場所も探し出されてバレてしまい、ついにこの地にも奥さんは押しかけて来たみたいです。
あの女性がそうだったのか・・・。
昨晩ケンタ君が逃げて来た際に、外で聞こえた女性の大きな怒鳴り声。
おそらく、彼が言うDV奥さんだったのだろう。
「美由紀さんみたいな女性が奥さんだったらよかったのに・・・」
お酒の勢いもあったのでしょう。
そのようにぼそっと呟いたケンタ君は、コップに入ったお酒の表面に映る自分の顔を見つめながら、ため息交じりに不満を漏らしたのでした。
それが本心で言っていることなのかわからない。
ただ、そんなふうに彼に言われて内心悪い気がしなかったし、どんどんケンタ君のことが好きになっていく自分に気付きました。
すると、突然ケンタ君は私の手を引っ張って抱き締めてきてこう言い放ったのです。
「美由紀さんのことが欲しい・・・」
その言葉に私も気持ちが抑えられなくなり、
「私もケンタ君に抱いて欲しいとずっと思っていたの」
ついに私も本音を言ってしまいました。
そのままお風呂の準備をするために一旦彼の手を解いて、浴室へ向かったのです。
こうなったら、もうこのまま成り行きに任せるしかないだろう。
「お風呂の準備できたからこっちへおいでよ」
と私が誘うとケンタ君は黙って頷いて浴室に入ってきました。
「さあ、ここに座って」
そう言うと、彼は言われるがまま躊躇せずに椅子に腰を下ろしました。
私は泡のついたタオルで、がっちりとしたごつい彼の背中を丁寧に洗って、シャワーできれいに洗い流してあげました。
「じゃあ、今度は私もケンタ君に洗ってもらおうかな」
そう言うと、彼に泡のついたタオルを渡し、お互いの位置を入れ替えて、今度は私が椅子に座り、彼が私の背後に回って背中を洗い始めました。
背中全体を洗うと、彼はシャワーで流して洗うのを終わろうとしたので、
「まだ体の前の方を洗ってもらってないよ」
と尋ねると、彼は慌ててもう一度タオルを手に取りました。
私が両手を上げて脇から洗うようにと促すと、彼は私の言う通りに脇から順番に丁寧にしっかり洗ってくれたのです。
その後、彼は脇を洗った両手をそのまま背後から胸に回し、私の乳房を震えた緊張したような手付きで、丁寧にゆっくりと揉み込むように洗い出しました。
「あぁ・・・、美由紀さんのおっぱいって、弾力があってとてもきれいな形をしていますね」
すると、興奮がピークに達したのか、あっという間に彼のイチモツはそそり勃っていきました。
彼は勃起した自分の分身が私に触れないように、少し遠慮がちに腰を引きます。
続けて私は、
「下の方もちゃんと洗ってよね」
と大胆に股を開いて、彼の両手を泡にまみれた股間に導いたのです。
泡に包まれたアソコに彼の両手が触れて興奮した私は、振り返って彼に抱きつき、強く唇を重ねた。
すると、彼は、
「うっ、ううぅ・・・」
と苦悶の声を上げて、ガクッとその場に崩れ落ちたのです。
「えっ、何?どうしたの?」
私は慌てて彼の体を両手で揺すってみたが、ピクリとも動かず、一切反応がない。
とりあえず、水を飲ませようと考え、私は浴室を出て冷蔵庫から冷水を取り出して来て、気を失っている彼のもとに急いで戻った。
ペットボトルの蓋を開けていると、やっと彼の目が薄っすらと開いたのだ。
「ケンタ君、大丈夫!」
そう言いながら、私は意識を取り戻した彼の体を軽く揺すった。
「あぁ・・・、またやってしまったんだ・・・。以前も昔付き合っていた彼女に抱きつかれてキスをした時、今みたいに失神してしまったんだよ」
彼はうつ向きながら、小さく呟いた。
病院の精神科には、子供の頃の辛い経験で受けた心の傷がトラウマになってしまい、そのような症状がでるんじゃないかと言われたとか。
詳しくケンタ君に話を聞くと、実は、彼は子供の頃、母親から性的な墓力を受けていたらしいのです。
何の因果か、大人になって再び悪い酒癖で暴力を振るう女性が奥さんとなってしまい、暴力のたびにトラウマになった子供の頃の経験を思い出して気を失い倒れる。
そんな地獄のような生活に耐えられなくなり、この地に逃れて来たと少し震えた声で告白してくれました。
そして、ここ三重県で働いている彼の友人が、海士さんのお仕事を紹介してあげるよと言ってくれたみたいです。
「僕は若い頃水泳を習っていて泳ぐのは得意だったので、この地に来て一から人生をやり直したいと思ったんだよ」
肩を落としている不幸な境遇で苦しむ彼を見ていると、何とかして救ってあげたいと思ったのです。
そのためには、彼の心に潜む悩みをできるだけ聞いてあげることが大事だと考えました。
「今夜はここに泊まっていけばいいわ。お酒でも飲みながら、嫌なことは何もかも全て忘れて、思う存分たくさん語り合いましょうよ」
そう言って励ますと、
「本当にありがとう。でも、僕お酒はそんなに飲めないんだよ」
と寂しそうな表情で申し訳なさそうに答えた。
「話し相手になってくれたらいいのよ。一緒にお風呂に入り裸で抱き合ってキスした仲じゃないの」
彼は顔を赤らめながらも、嬉しそうに少しニコッと笑顔を見せてくれた。
この後、夜遅くまでいろいろな話をして過ごし、朝方にはケンタ君はいなくなっていた。