あたしには不安解消法がある。
それは性行為だ。
あたしは性行為をもって正常でいられる。
セックス依存症と言われても過言ではない。
そんなあたしについてきてくれるのは、
一番の理解者の兄だった。
両親からは距離をおかれている。
あたしは高校を卒業と同時に、実家を出て兄のいる札幌にきたのだった。
兄は昔と変わらずだ。
可愛がってくれる。
お姫様みたいな感じで接してくれる。
それが心地いいんだ。
兄は今、大学に通いながらコンビニでアルバイトを深夜までしている。
あたしは仕事は決まったが出社できずで結局退職になった。
それでも兄はあたしを許してくれる。
無条件で受け入れてくれる。
あたしはそこの部分だけは両親に感謝をしている。
………
………
けれども問題の日がきた。
いつも通り兄は出勤し、あたしは家事を始めた。
それから数分後にあたしの携帯に着信がきた。
まったく知らない番号なのでスルー。
けど電話は鳴りやまない。
しびれを切らしたあたしは少しだけイラつきながらも
「はい!?」
と出てみた。
すると警察の人からだった。
どうやら兄の圭介が交通事故に巻き込まれて病院にいるのだと。
慌ててあたしは病院に向かった。
………
………
………
病院に着くと、そこには兄の友達の
どうやら今回の状況を聞くと、勇太さんが運転していて、
その横で兄がスマートフォンを操作していると、声が出たという。
その声はかなり大きく、驚いた勇太さんは慌てて車を停車。
結果は後方車両からつっこまれて今回の事故に繋がったらしい。
事情を聴き、あたしは落ち着こうとひとり兄の病室にいた。
兄の手を握ればぬくもりがないことに気付く。
まるで死人。
けど諦めない。
兄が目を覚ましてくれることを信じよう。
あたしが信じなくて誰が信じるんだ。
その日から兄の治療費でバイトを増やした。