潮を吹いたのは、人生でたぶん初めてだと思う。
彼と十年前に何度か交わった時でも、こんな風に感じたことはなかった。
彼はどうやら、うまくなっているらしい。
「ねえ、私と別れてからどれくらいセックスしたの?」
「ほとんどしてないよ。君を忘れようと思って何人かと交わったけれど、片手で足りるくらいしか交わってはいない」
「なのに、こんなにうまくなったの?」
「うまくなったかな?」
「うん、とっても、気持ちよかったから……」
私の腰は、まだびくびくと震えている。
快感から立ち直れていない。
今つながれば、壊れてしまうくらい、私の体には強い快感が残っている。
でも、私は早く彼が欲しかった。
今の昂ったままの体で、彼を包み込みたいと思った。
「ねえ、早く挿れて」
「大丈夫なの?」
「うん、だって、もう十年待ったんだもん」
「そっか、十年か」
彼はそういって私のことを強く抱きしめた。
その抱擁はさっきまでの激しさとは全く別な優しいものだった。
「アキ、早く」
私の中は彼を激しく求めていた。
「挿れるね」
彼は私のことを抱きしめたまま、私の体を持ち上げた。
私は彼のペニスが中へうまく入っていけるように、手で導いた。
彼の大きく、たくましいペニスが、ゆっくりと、ゆっくりと私の中へ入ってくる。
ぎちぎちと穴を押し広げていく感覚。
それだけで私の体は壊れてしまいそうになった。
少しずつ入ってくるのに合わせて、体の中に快感がしみ込んでいく。
彼が丹念に広げてくれたから、痛みは全くなかった。
初めて生でつながる彼。
ゴムをしながらつながったときには、感じることが無かったような濃密な接触感は、それだけで私を昇天させそうなくらいの快感を伴っていた。
「動くね」
私が言うと、彼は小さくうなずいた。
私はベッドに足をつけて、ゆっくりと腰を持ち上げた。
彼も手で支えてくれていた。
みっちりと私の内側に張り付いていたペニスが、ずるずると抜けていく。
内壁をこする感覚が頭のてっぺんまで突き抜けていく。
そして私が腰を落とすと、その勢いに合わせてペニスが中に入り込んでいき、私の奥底を突きあげるのが感じられた。
私はそれが癖になって、何度も何度も腰を持ち上げては落とし、持ち上げては落とし、を繰り返した。
気持ちいい。
その感覚だけで、私は自分の体を動かした。
前の旦那とは全然違う、濃密さ。
深く、濃く、つながっていることが感じられる彼のペニスに、満足しないわけがなかった。
「ハル、僕は君が好きだ」
そう言いながら、彼は私の乳首に吸い付いてきた。
「んんんっ!」
上からも下からも快感が押し寄せてきて、私は壊れそうになった。
ぎりぎりのところで何とか踏みとどまって、私は動きを止めず、何度も何度も体を動かした。
「アキ、気持ちいい?」
「うん、十年ぶりにつながってるのを、感じてるよ」
「よかった」
私たちはその言葉の間で、何度も何度も喘ぎ声を上げながら、深く、濃く、つながった。
濃密な彼の存在感が、私の中であふれていく。
快感と、幸福が同時に押し寄せてきて、私の胸の中が満たされる。
これだ、これが私の欲しかったものだ。
十年間求めていた快感と幸福。
これが私の十年間求めていたものだった。
………
………
………
「十年間、ごめんね」
彼とのつながりを強く感じながら、私は言った。
「良いんだ。僕も、ごめん」
彼はそう言いながら、私の体をベッドに倒した。