恋のはじまり

エリートくんとしちゃった

あたしは今、最高潮にイライラと頭を熱くさせている。

それもそのはず。

原因なるものはもう目の前にあるから。

っつーかいるんだけどね。

「ご、ごめんなさい、和田わださん‥‥‥」

あたしに謝られても‥‥‥。

「あ、いえ、僕がここは引き下がるところでした!申し訳ございません!」

引き下がるとか引き下がらないとかそういう問題じゃないんだよね。

なんでこの人はあたしをここまでいらだたせるかなぁ。

「和田っち許してあげて!私の顔を立てるみたいに!!」

‥‥‥こいつは幼馴染の真鍋まなべゆき。

はぁ、仕方ないな‥‥‥。

「わかったよ。原島はらしま、真鍋、お前ら下がってろ」

「ありがとう和田っち!そうだよね!あんたの好「真鍋さんちょっとこっちにいらっしゃい!!!!」」

こうして連れ込んだのは女子トイレ。

あたし頭が痛いよ‥‥‥。

「なによぉ和田っち!」

「ここは職場であんたは後輩!高校のなごりはやめなさい!!」

「あらーなによぉ。だから男が逃げていくんだから」

「一言余計なのを自覚しなさいな」

「だって‥‥‥好きなんでしょ?原島くんのこと」

「‥‥‥」

そう、後輩で入った原島達哉はらしまたつやをあたしは好きになっていた。

最初は仕事がまったくできないし、愛想もないし、なにより話しても聞こうとしない人かもって思って避けていた。

けれどもとある会社帰りに見てしまった。

普段見ないような優しい顔を。
………

………
それは偶然で突然で、心に余裕がない時でもあったから揺れた。

思わずかがみこんでしまったんだ。

こいつ‥‥‥この雰囲気が好きかもしれないって。

思わず思ってしまったからだ。

 

「あれ?和田さんですか??」

なんとかがんだところに来ちゃった感じカナーーー!!??

「あ、いや、べっつに見てたわけじゃ‥‥‥」

「こんな時間に買い物ですか?」

「まだ、まだ‥‥こんな時間ってまだ日付変わっていないじゃないか」

「‥‥‥もう23時57分です。」

そうか、原島は契約社員だから帰宅は定時だったな。

ま、どうせエリートコースなんだから、こっちがやってるしかないんだよね。

お坊ちゃまらしいし、この仕事だってそんなに好きでやってるわけじゃなさそうだしな。
………

………
「自宅は近いですか?」

「あ?あぁ、徒歩圏内だからここも近所みたいなものだ」

エリートにはわからないよ。

派遣社員のあたしは交通費が出ないから、仕方なく長距離を歩いている。

はいはい、エリートさんお疲れ様ですだ。

「送りますから、一緒に行きましょう」

はいはい。エリートさんお疲れ‥‥‥ってえええぇぇ!!??

「いいいらない!」

「いいです。送ります。貸してください、その荷物重たそうです」

そう言って原島はあたしのリュックを奪って背負った。

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