あたしは一人、ゆなと離れて学校に戻る。
教室に着くころには多少暗くなっていた。
そりゃぁそうか。
もう12月だしなぁ。
クリスマスがやってくる。
もちろん、やることは決まっているんだ。
お母さんとケーキを食べながら、お父さんと三人でいた思い出のDVDを見ること。
………
………
実はあたしは少し特殊で、8歳でお父さんを病気で亡くして、
女手一つで育ててくれたお母さんは一昨年に病院でひっそりと亡くした。
このことは学校の先生たちしか知らない。
幼馴染の陽太くんにも言っていない。
だってきっと陽太くん、心配する。
陽太くんもお母さんと仲が良かったからね。
そんな回想しながら教室から出ようとすると、タイミング良く斎藤くんがいた。
「美咲ちゃん?待っててくれたの?」
「へ??」
「手紙読んだ。ありがとう。俺も美咲ちゃんが好きだよ」
いみふっっ!!
それからキスをされそうになって避けようとしたが、
両肩をつかまれて逃げれない。
初キスは陽太くんと!!
と思っていたのにこの仕打ち。
あたしが何をしたっていうのぉ!?
「待った」
あたしと斎藤くんをはがしてくれた男子がいた。
見れば、陽太くんだった。
「陽太?!なんで止んだよ!」
「斎藤。アンタ美咲に近寄りすぎ」
「陽太くん‥‥‥?」
「‥‥‥美咲。お前こいつが好きか?」
言葉につまった。
ここで陽太くんが好きと言い張りたい。
………
………
でも、そういったらゆなは?
あたし今までさんざんゆなに陽太くんを好きじゃないって言ってたから‥‥‥
裏切りだよね。
「す‥‥‥」
言えなかった。
どんなにゆなの顔を思い浮かべても最後には陽太くんのあのくしゃってした笑い顔が浮かぶ。
涙が勝手に落ちる。