「住川ちゃんごめんね。あたし先に帰るわ」
「芽衣ちゃん待って送るから」
「いらないんだ。歩きたいから。」
「そうだな、昔からお団子だから歩け!!さーて女の子たち!俺とダンスしようぜー!!」
こんな……
こんな日はないよ。
せっかくの…………
あたしはお金を置いて走って逃げよう。
そう決めて立ち上がった。
お金を置いて、…………え??
お金を置いた手を取られた。
桝見くんに。
「桝見、くん?」
「…………おごる。から。二軒目行こ」
「ま―………」
「矢吹。お前、見る目ないな。俺だったら絶対に別れないし」
「あの、桝見くん」
「つーか彼女に黙って乱交パーティに入り浸ってたお前にはわかんないよな」
えええ!!!????
らららら…………
乱交ってほぼほぼ犯罪じゃん!!
「な!黙れ!証拠のないのに…………」
「動画、流されたくなかったら、二度と芽衣ちゃんに話しかけるな。視界に入るな」
「ぐっ…………」
少しだけ、気が晴れた。
桝見くんのおかげで。
あたしたちは宣言通り店を出て、歩いていた。
「ありがとう桝見くん。」
「……」
「…………うん、あたしが馬鹿だった。彼のことちゃんと気づけなかった。あたしが」
「馬鹿じゃない。でもバカだね、芽衣ちゃんは」
きゅんとした。
やば……
あたしは…………
「そんな風に言ってくれて気が晴れたよ」
「可愛い」
「え?」
なんだかこんなドキドキは……久しぶりだ。
桝見くんの笑顔に欲情した。
耳まで熱くなるのがよくわかる。
バレないように隣を歩いていると、手をつながれた。
そして近くの公園で、あたしたちはベンチに座った。