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買い物をしようと車から降りると、あたしも降りた。
二人は別々に買い物することになる。
気兼ねなく使えるから楽だ、としかあたしは思わなかった。
あたしは冷えピタと、ひんやり枕、小さめのアイスのンを購入した。
入り口で待っていてくれた我妻さんに一礼してから近寄る。
「はい乗ってーーー」
「はい」
これが悪魔の仕掛けた罠だとは、この時誰も想像していないだろう。
車を走らせること2分。
彼の話から始まった。
「あ、ここを右です」
「はいよー」
特に話を盛り上がるのではなく、
たまたま趣味がかぶってることが分かった。
同じく映画が好きだったり、
音楽が大好きで、好きなアーティストがかぶっていたり、
とにかく話をしていて気晴らしにもなったし、
会社の同僚たちよりもずっと話が通じて楽しかった。
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「ここでいいかい?」
「はい!」
二人の距離は縮まった。
しかしこれでお別れということが残念な気がしてしかたがなかった。
だからか、あたしは誘ってみた。
「あの、もしよかったらあがっていきませんか?麦茶くらいなら出せるし」
「…………あぁ、じゃぁお邪魔しようかな」
あたしは浮かれた。
こんな風に会話を楽しいと思えたのは久しぶりで、
気分が高揚していた。