「
「へ?」
男性の声で目を覚ました。
どうやらあたしは眠っていた様子。
隣りには拓の弟の竜くんがいた。
「竜くん?」
「はい。兄貴が待ち合わせ場所に行けないから間取り持ってくれって」
実は、今日はあたしの誕生日で結婚記念日。
一緒に過ごそうとカフェで待ち合わせをしていた。
しかし、彼はこない。
「ありがとう。じゃぁ帰るね」
「送ります」
あたしが持とうとしたバックをさらっと持ち上げる。
一歩踏み出したときは足元がおぼつかなくて倒れそうになる。
あたし…今日拓が来れないのかと心配するあまりにお酒を飲んでいたんだ。
だからか…。
「だーいじょうぶ大丈夫!なんて―……」
思わず転びそうになった。
けどそこを竜くんは左腕一本で支えてくれた。
「俺車で来たんで送ります」
「んーー…じゃぁお願いします」
「はい」
この時知らなかった。
まさか竜くんが…だったなんて。