マニアック

ハプニングバーで大勢の男たちに押さえつけられて…

「おい、もっと脚開かせろ」

「いやぁっ!やだ!離してくださ……っ」

「ハハ、嫌がってるふり上手いじゃん」

見知らぬ男たちの手が四方八方から伸びてくる。

赤い絨毯じゅうたんの上に押さえつけられながら、私は必死で手足をバタつかせた。

私が抗えば抗うだけ、声を上げれば上げるだけ、男たちは愉しそうに笑う。

下着だけにされ、男たちに押さえ込まれている私を中心に、人垣ひとがきの輪ができていた。

派手に飾り立てられたこの会場にいるのは、ほとんどが男で、私を除いて唯一の女性で友人である同僚は、とっくの昔に酔いつぶれている。

事情を説明してくれる人間も、聞く耳を持つ人間もいない。

「オーナー、ローションくれ。媚薬入りのやつ」

「畏まりました」

興奮して息を荒らげた男が、オーナーと名乗る男から注射器のような容器を受け取る。

針はついていないが、注入の用途に用いることは間違いないだろう。

「おい、下着脱がせよ」

「穴にローションぶち込め」

「やっ……いやぁぁっ!」

たくさんの男たちの大きな手が、私の視界を埋め尽くすようにして迫ってくる。

力の限りもがいても到底敵わず、手首と腕と、肩と腰と、太腿と足首を、男たちの手で鷲掴まれて身動ぎすら封じられた。

「いい脚してんじゃん。はーい、開いて開いて」

一人の男が軽薄けいはくな調子でそう言って、無遠慮に私の両脚を大きく割り開いた。

ピンクのサテン生地に黒のレースをあしらった下着は、この場にいる男たちの多くがお気に召したらしかった。

ヒュウ、と冷やかしと興奮で濡れた口笛が聞こえる。

「い、いや……っ!離して!見ないで、見ないでよぉ」

私はたまらずしゃくり上げるが、それも男たちを興奮させるための演出と受け取られるであろうことは分かっていた。

それでも平常心ではいられずに、やめて、やめて、と哀願あいがんを繰り返す。

「あー、もう!たまンねぇ。おい、早くヤらせろ!さっさとローション注入して突っ込もうぜ」

「こんな可愛い女の子だと思わなかったよ。超ラッキー」

「ほら、この媚薬入りのローション使えば、すぐ気持ちよくなれちゃうからさ。アンタのオーダー通りだろ?なぁ、オーナー」

「ええ、仰るとおりです。念の為、彼女のオーダー書を読み上げましょうか?」

男の一人がそうしてくれ、と応じると、オーナーはデスクから一枚の紙を取り出して、大きな声で読み上げ始めた。

「本日、当店ハプニングバー響にて、私は複数の男性に代わる代わる輪環わかんされるプレイを希望します。嫌がる演技をする私を無理やり犯す、レイプのような演出をしてください。同僚の女性を一名同伴しますが、彼女には手を触れないようお願いします。署名、山崎花恵やまさきはなえ。……ということでございます」

「うわぁ。何度聞いてもえっちなオーダーだねぇ。このオーダーが店内に貼られてから、俺たち毎日楽しみにしてたんだよ。しかもこんなに可愛い女の子だったなんてさ。いっぱい楽しもうねぇ、花恵ちゃん?」

「ご、誤解です、私そんなこと……っ!それに私は」

言い募ろうとした私の口は、覆いかぶさってきた男の唇で塞がれてしまった。

舌を入れられそうになり、慌ててぎゅっと口を結ぶ。

「なんだよ、ツレねぇな。キスぐらいいいだろ?」

「ばっか、お前。あんなエロいオーダーする女なんだから、キスなんかより咥えたいもんがあるんだよ。なぁ花恵ちゃん」

下卑げびた含み笑いとともにそう言われ、私の顔からさぁっと血の気が引く。

唇を開いた途端、見ず知らずの男に口を犯されてしまうだろうことがありありと想像できた。

「おい、もっと脚開かせろ」

「ん、んんーーっ!んぅぅ!」

イヤイヤ、と激しく首を振りたくるも、興奮しきった男たちは誰ひとりとして私の言うことなど聞かない。

耳を傾ける男がいたとしても、きっと迫真の演技だね、なんて言って笑われるのが関の山だ。

「下着ズラしてろ」

「おー、花恵ちゃん毛薄いんだ」

「身動きできないように脚ちゃんと抑えろって。よし、ほら……ローション挿れるよ」

つるりとした冷たい異物が、私の秘孔に潜り込んできた。

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