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そう、こんな物語があったんです。
「よかったな、佐伯。おめでとう」
「主任まで…」
「はーい主任はるいの半径50cm以内に入らないでくださいねー」
「なんでだよ」
「俺が嫉妬するから」
「わかったわかった。じゃ、仕事始めるぞ」
主任は私の背中をポンっと叩いて歩き出す。
そうすると慶太は私の背中をパンパンと叩いていた。
「なにやってんの?」
「主任の気配消した」
「そこまで?」
「うん。俺嫉妬深いから」
「…私もだから覚悟していてね」
ウィンクをすると、慶太は少しだけ顔を赤くした。
その顔を見れた私は「かわいいね」という。
そしたらみんなの前だというのに、いきなりキスをしてきた。
周囲のみんなは「おおぉーー!」と勝手に盛り上がる。
唇が離れた瞬間に私は頭をはたいた。
「なにすんの!!!」
「いやぁその顔が見たくて」
「はぁ!?」
「大好きですよーー」
「恥ずかしいし!!」
そんな私たちに主任は笑いながら声をかけてきた。
「ははっ。そこ、夫婦漫才はもういいから。仕事に戻るぞー」
その声で二人は並んで朝礼に臨んだ。
実はひっそりと、手をつないで、ね。
- FIN -