マニアック

快楽漬ダイエット

 それにしても、やっぱり久々の運動はだいぶ身体にクる。

 じっとりとした汗をタオルでぬぐい、指示されたとおりにシャワーを浴びた。

(あーきもちいい。密着ストレッチは恥ずかしいけれど、やっぱ運動するのいいなぁ……)

 そして、何より嬉しいのが二時間トレーニングをすると三〇分のマッサージが受けられるということ!

(今日は特別に体験させてくれるなんてラッキー! 多少高くてもマッサージ目的で通っちゃうかも!)

 なんでもボディシェイプを希望する女性のみ受けられるコースなんだとか。

 シャワーから上がると、指定された服を身に着ける。

 

「え……この服着るの?」

 陸上選手が着るようなセパレートタイプのブルマとチューブトップ。

 二の腕はもちろん、お腹も、太ももの付け根まで隠したいお肉を全部露出させるものだった。

(見ないようにしていた現実が、覆いも隠しもできない……)

 途端にずーんと暗くなった気持ちを引きずりつつ、私は五番ルームの戸を開けた。

「失礼します……って、え! マッサージも響先生なんですか?」

 三畳くらいの部屋に施術用のベット。

 バスタオルを持ってスタンバイしている響先生は「何をいまさら」といった顔をしている。

「そうですよ? これから僕は史佳さんのダイエットに責任を持つわけですから」

(ど、どうしよう……そりゃダイエット目的ってはっきり言ってるけど、実際の惨状を見せるのは恥ずかしすぎ……)

 入口でためらう私に、響先生はにやりと笑いかける。

「僕、このボディシェイプコースの醍醐味だいごみの一つがマッサージ、とお伝えしましたよね?」

「え? あ、はい」

「史佳さん。今、恥ずかしかったりします?」

「と、当然じゃないですか!」

 こんな肉付きの良いところを全部強調させる服をわざわざ用意するなんて!

 赤面が収まらず、声を上げると響先生は嬉しそうにしていた。

「それも、狙いの一つなんです。羞恥心はダイエットの強力な味方です。自信を持ってそのユニフォームが着られるよう、頑張りましょうね! さ、早くこちらへどうぞ」

 なんだかわからないうちに乗せられてしまった気がする――

 でも、ここで駄々をこねても仕方がない。

 第一、今日は体験で来ているのだ。

 騙されたと思って、受けるべきサービスは受けよう!

 私はえい、と腹をくくり、先生の指示通り施術ベットに上がった。

 

「では、今日酷使した背中から始めましょうね。オイルを背中に延ばします。身体を楽にしてください」

 とろりと背中に広げられたオイル。

 暖かい響先生の掌が肩甲骨や首の周りを滑るとき、思わず声が漏れる。

「あぁ……そのあたりヤバいです」

「でしょうね。ガチガチに凝ってますよ。ほらっ!」

 ――ごちゅんっ!

「痛ったぁっ!」

 響先生の親指がツボを捉えたようで、思わず身体が跳ねた。

「あはは、すみません。強すぎました?」

「うぅ……先生ドSすぎぃ……あぁ、でも、優しくされるの、すごいイイ……」

 先程とは打って変わって、優しく指が滑る。

 自分でも硬くなっているな、とわかるところをコリコリと指圧されるとなんとも言えない気分になる。

(あぁ……骨から筋肉が剥がされていくみたい……)

 アロマの香りも相まって、うとうととし始めた時だ。

「では、次は四つん這いになって、上半身を低くしてお尻を突き出してください」

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