マニアック

快楽漬ダイエット

 とんでもない指示に眠気が一気に吹っ飛ぶ。

「ちょっ……! それは恥ずかしすぎます!」

「何言っているんですか。ヨガでもよくあるポーズでしょ。肩甲骨のストレッチにもなるし、何より太ももの施術が大事なんですよ」

 ほら、と促され私はしぶしぶ体制をつくる。

 たゆんっと。胸とお腹の肉が揺れた気がする。

 恥ずかしくて耳まで赤くなるのを感じた。

 

「あぁそうだ。史佳さんのご要望は『メリハリボディを手に入れたい』とのことですので、お尻をもみほぐす必要がありますね」

「えぇっ?」

 内腿の付け根の筋をぐいぐいと指圧されながらお尻にローションがまぶされた。

 ぬるぬるとブルマ越しにすべり、大きな掌で揉みこまれる。

「うん、だいぶ硬いですね。日中、お仕事では座りっぱなしですか?」

「そ、そうですけどぉっ……」

 まさかいきなりお尻を揉まれるなんて思ってもいなくて、頭の中がパニックになる。

(あぁ……そん何激しくされたら……っ!)

 ブルマがずれて、大きく露出してしまう太もも。

 きゅうっとクロッチが食い込み、恥ずかしいところがきゅんとうずく。

 もちろん、響先生はそんなのお構いなしだ。

「ちゃんと上を向いているお尻、いわゆる美尻のためには筋肉が必要です。その過程で、筋肉の凝りは必要ありませんから、よーくほぐしていきますよ」

「は、はぃ……」

 もにもにとパンを捏ねるような手つきで揉みしだかれるお尻。

 太ももから贅肉を持ち上げるような動きや、ビキニラインぎりぎりを捉えるリンパマッサージは、施術とわかっていても嫌らしい気持ちがむくむくと沸きあがる。

 あぁ、先生の太くたくましい指でかき混ぜられたら、どれほど気持ちいいだろう、なんて。

 

「では、そろそろ仰向けでお願いします。股関節が柔らかくなるよう、特に念入りに行いますね」

(うぅ……さっきのポーズだって恥ずかしかったのにぃ……)

 膝が胸につくくらい持ち上げられる。

「んぅ……苦し……」

「この体制はけっこうきついですよね。でも、実用性もありますから、頑張ってください」

「じ、実用性って」

「そりゃ、セックスですよ。正常位でするとき、これくらい柔らかい方が子宮の奥まで届いてお互い気持ちイイんですよ」

 あっけらかんとした様子で落とされた爆弾。

 私が言葉を失っているのに対し

「知りませんでしたか?」

 と響先生は小首を傾げる。

「このジムに通う若い女性の悩みの中に『夜の性活に積極的になりたいから痩せたい』って要望、多いんですよ。あとは『感じる身体になりたい』とか『膣筋トレをして彼氏を喜ばせたい』とか」

「な、そ、そんな……んぁっ!」

 響先生の両手が、私の中心部に近づく。

 普段、誰にも触られないような足の付け根をお尻から前に向けてぐりぐりと刺激されると身体の奥がじんわりと熱くなる。

「女性の場合、インナーマッスル……膣筋を鍛えるのはダイエットに非常に効果的なので一石二鳥とも言えるんですけどね」

「そ、そうなんですか?」

「はい。だから、恥ずかしがらなくていいんですよ。施術中に気持ち良くなってしまうなんて、よくあることですから」

 その言葉の後、響先生の指がブルマ越しに中心部をなぞる。

「あぁっ!」

 決して薄くはない布なのに、意図せず自己主張を始めていた陰核が布越しにもどかしい刺激を拾う。

「さて、通常のマッサージ終了まで三分を切ったところなのですが……どうでしょう、史佳さん。延長されますか?」

 ――ずるい。

 その誘いが何を示しているかなんて明白で。

 私の身体を火照らせた後に選択を迫るなんて。

 けれど、私の頭の中にはある俗説が渦巻いている――

 『セックスって痩せるらしいですよ』。

「……お、お願いします。私、痩せてキレイになりたいんです」

 羞恥心をかなぐり捨て、響先生の手をそこに宛がう。

 早く可愛がられたくて中心部が疼いた。

「承りました。とっても、気持ち良くしますからね」

 にこっと笑う響先生の笑みは、もしかしたら柴犬どころか、狼のそれだったのかもしれない。

1 2 3 4 5 6 7
RELATED NOVEL

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。