彼に言えない秘密の過去が私にも・・・
治療のための1ヶ月の入院期間中に、しばらくの間、私と会えない勝秀君が、また風俗通
いを始めるかもしれないという心配をする私。
だけど、一方的に勝秀君を非難することができない自分がいた。
なぜなら、勝秀君に言えない秘密の過去が私にもあったからだ。
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実は、私は過去に風俗店で風俗嬢として働いていたことがあったのです。
しかも、その風俗嬢として働いていた当時、勝秀君と会っていたというおまけ付き。
ずっとこの事実を黙ってきて、隠し通してきたけど、いつの間にか、この秘密の過去を
忘れてしまっていた。
けれど、今回、入院することになって、勝秀君の風俗通いを心配するにつれて、忘れてい
たその秘密を思い出したのです。
時間がたてばたつほど、どんどん胸が痛くなってくる。
勝秀君の風俗通いを非難する資格なんて、私にはないだろうな・・・。
私が風俗店で風俗嬢として働いていたのは、今から8年前の彼とダンスサークルで
出会う1年前。
その当時の私は、36歳でお給料もそれほど高くなかった。
別に、贅沢三昧をしたいわけではないけど、たまには、好きな服を買ったり、好きなもの
食べたり、旅行に行ったりもしたい。
正直、その当時のお給料では足りなかったので、何か手っ取り早く稼げるお仕事はないか
と探していたところでした。
そんな時に、会社で一緒に働く1歳年上の仲の良い先輩女性社員に勧められたのが、風俗
店のお仕事だったのです。
最初は、見ず知らずの男性に体を弄ばれる風俗嬢として風俗店で働くことに、私は否定的
だったのですが、そんな私に、
「それなら、メンズエステとかオナクラにすれば大丈夫だよ。基本ソフトプレイだから、
客に体を触られることもないし」
そして、私はメンズエステで働くことになり、毎日のように、男性客の相手をして、
かなりの金額を稼げるようになりました。
私が働いていた風俗店は、マッサージから手コキといった、手による男性のアソコを刺激
する性的なソフトサービスプレイのみ。
男性客が風俗嬢の体に触れることはないし、キスとかフェラチオといったこともなかった
ので、割り切って働くことができました。
男性客を手でイカせるだけで、気軽にたくさんのお金を稼ぐことができた風俗嬢としての
仕事に対して、それほど罪悪感も感じてなかったと思います。、
しかし、その当時、ほとんど感じなかった罪悪感をまさか8年後に感じることになるとは
思いませんでした。
そりゃそうですよね。
風俗通いを非難する私自身が、その風俗で働いていたんですから。
そして、驚いたことに、私が風俗嬢として働いていた時に、一度だけ、後に恋人になる
勝秀君が、偶然お客さんとして来店し、私を指名していたのです。
私ははっきりとその指名してきたお客さんが、今の恋人である勝秀君だと断言できます。
なぜなら、勝秀君の体には、左目の下に涙ボクロがあり、それ以外には、右肩の上、左鎖
骨の上、ヘソのすぐ上の辺りにホクロがあります。
顔が今の勝秀君にそっくりなだけでなく、このホクロの位置の特徴が全て一致したので、
付き合い始めた後になってからではありますが、彼だったと確信しました。
その当時、なぜ、私を指名したのか、タイプだったから?その理由は今でも、そして、
この先もずっと知ることはできません。
でも、勝秀君は私のマッサージや手コキのサービスに、とても気持ちよさそうにしてい
たのを今でもはっきりと覚えています。
そらから1年後に、ダンスサークルで勝秀君に出会った瞬間には、心臓が飛び出すほど
ドキッとなってビックリしていた自分がいました。
私はバレないか不安ですぐにダンスサークルを辞めようかと思いましたが、勝秀君は全く
気付いていない様子。
最初は、気付かないフリをしているだけかと思っていましたが、どうやら、本当に気付い
ていないのがわかったのです。
まあ、私が風俗嬢として働き、勝秀君に接客をしていた当時は、今よりも10キロ近く
太っていたので、体型はもちろん、顔も今よりふっくらしていましたからね。
その後、ダンスサークルに入り、あっという間に、ダイエットして痩せてしまったので、
スレンダー体型になった私が、当時指名した風俗嬢とは気付かなかったのでしょう。
髪型だって、その当時は、ショートカットにしていたけど、今の髪型は、腰まであるロン
グヘアだし。
もちろん、たった一度しか指名していないということもあっただろうけど、付き合い始め
てからも、一切気付く気配はありませんでした。
それ以降、私は風俗で働いていたこと、そして、その当時、風俗嬢として勝秀君を接客し
ていたことをひたすら隠し続けてきたのです。
おそらく、言わなきゃ今後一生絶対にバレないでしょう。
だからこそ、罪悪感もあり、勝秀君のことを一方的に非難することはできない。
勝秀君の風俗通いを許すことになったのは、その秘密の過去を隠し続けてきたことに対す
る、せめてもの償いでもあったのです。