学生もの

学校で彼氏にアレを見られたから、なりゆきで誘っちゃいました

「わ、私露出狂とかじゃないから!」

「ち、違うんですか?」

「君、失礼だなあ」

佐藤君の失礼な一面に驚かされながらも、私は自分以上に焦っている彼を見て少しだけ落ち着きを取り戻した。

「きちんとこれには訳があるの。だから、説明させて」

「わ、分かりました……。ぼ、僕は」

「うん」

「どんな先輩でも、受け止めますから!」

まだ失礼な誤解をしたままだが、これに関してはしっかりと弁明しないとだめだろう。

だが、この事件はまだ、不幸中の幸いといえる部類のものだった。

それは、佐藤君が最近付き合い始めた彼氏だった、ということだ。きちんと弁解さえすれば、私が露出狂だという不名誉な誤解はすぐに解けるはずだ。

それに、見られてしまったのも彼氏ならまだよかったといえる。いずれ見せる予定はしていたし…

「そ、そういえば僕少しだけ上に用事があるので、先に済ませてしまってもいいですか」

「う、うん。でも用事って?」

「帰り道で忘れ物に気付いて。なので、少しだけ昇降口で待っててください」

彼の教室も三階にあるから、きっと宿題か何かを忘れたのだろう。

「わかった」

「あと、これよかったら使ってください」

そう言って、彼は自分の鞄から体操服のズボンを取り出した。

「ちょっと汚れてますが、な、なに、なにも、は、はい、はいて、ないよりは、安心ですよね……」

私が下をはいていない事実を再確認してしまった彼は、カミカミになりながらそう言って、私にズボンを貸してくれた。

「あ、ありがとう……」

「じゃ、じゃあ行ってくるので、待っててください」

彼は急いで自分の教室へ向かうのを見届けてから、私はその場でズボンをはいて、昇降口へ向かった。

ノーパンをこんなにすぐ脱することになるとは思っても見なかったが、その前に彼に見られてしまったので結局ノーパンチャレンジは失敗だったわけだが。

しばらくすると、佐藤君が息を切らしてやってきた。

「お、お待たせしました」

「ううん」

彼と一緒に、私たちは帰った。私の家の方が彼の家より近かったから、私の家に来てもらうことにした。

私がノーパンノーブラだという事実をあまり周知のことにしたくなかったから、帰り道ではその話はしなかった。

彼もそれは察していたようで、話を振っては来なかった。

家についてから、私は部屋を片付けなければならなかったので、少しだけ待ってもらってから部屋に入ってもらった。

「ごめんね、突然来てもらうことになって」

「あ、いえ……」

初めて家に招く理由がこんなことで少し申し訳なさはあったが、仕方ない。

「それで、私がノーパンだった理由はね、かくかくしかじかで……」

私は順を追って話をした。

水着を下に着て登校したこと。

下着を忘れたこと。

人目を避けて帰ろうとしたところで彼に会ってしまったこと。

「そういうことだったんですね……」

「そう、露出狂じゃないってわかってくれた」

「はい、わかりました」

彼は少し安心したような表情をしてからすぐに、緊張したような表情になった。

「えっと、っていうことは」

「うん」

「う、上もつけてないって、ことですか……?」

「そ、そうだね」

彼は顔をほんのり赤くしていた。

「もしかしてさ」

「はい……」

「見たい?」

「えっ!あのっ!それは!」

とんでもない慌てぶり。

「見たい、ですけど……」

正直でいいことだ。

そりゃ彼女ができたての男子高校生なら、裸に興味があるのも当たり前というものだろう。

「佐藤君って、私が初彼女だって言ってたよね?」

「そう、ですね」

「じゃあ、生で女子の裸も見たことない、よね」

「そ、そうですね」

「私、おっぱい小さいけど、がっかりしないでね」

「そ、そんな!がっかりなんてしないです!」

「約束できる?」

「できます!針千本だって飲みます!」

「そんなに見たいの?」

「あっ……」

私がいじわるな質問をすると、彼は顔を真っ赤にして座りなおした(質問を繰り返す中で彼は少し前のめりになっていた)。

こんなことを言っておきながら、私も異性の誰かに裸を見られるのは初めてなのだが。

年上としては少し経験豊富な風に見せたいところだ。

「見せてあげる」

「え?」

「その代わり」

「はい」

「私の以外、見ちゃだめだよ」

「は、はい!」

「AVとかも!」

彼がぐきっ、とでもいうような顔をしたのですぐに言った。

「うそうそ」

でも、彼が巨乳好きだったら少し嫌だな、と思った。

もし彼の好みじゃなかったら、少し寂しいな、と思った。

「じゃあ、ちょっと向こうむいてて」

「あ、あの……」

「ん?」

「僕が、脱がせちゃ、だめですか?」

どきり、とした。

彼のその表情がいつものかわいい年下、とでもいうようなものではなく、一人の男のものだったからだ。

やっぱり、そういうことにも興味があるんだな、と思うと、私はときめいてしまった。

「いい、よ」

私はボタンを開けやすいように手を広げ、彼を迎え入れた。

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