「まさか、こんな風に初めてを迎えるなんて思ってませんでした」
「こんな風って?」
「先輩のまんこを学校で見上げて、その弁解のために部屋に上げてもらって、その成り行きでエッチするなんて、思ってなかったってことです」
「そ、そういうことか」
私は笑うしかなかった。
お互い果てた後、服を着替えて、私たちはベッドに座って話していた。
「もっとロマンチックなの想像してたんですけどね……」
「それはごめん」
彼はあからさまに落ち込んだように笑ってから、私と目を合わせた。
「でもいいんです。どんな初めてでも、先輩と迎えられたなら、それで」
「もうっ」
彼はたまにこういうキザな台詞を、構えていないところで言う。
彼のこういうところはちょっと苦手だけれど、とてもかっこいいと思ってしまう。
「今度は」
「今度は?」
「佐藤君のプランで、してみたいな、なんて」
「ぼ、僕のプランで、ですか?」
「だって、ロマンチックなの考えてたんでしょ?」
「そ、それはそうですけど!」
彼は少し慌てているのを見て、私はこらえきれなくなって笑った。
それにつられて、彼も笑った。
「わかりました。任せてください」
「じゃあ、今度のデートはそれで」
「期待しててくださいね」
彼はそう言って、私の手を握った。
今日は、下着を忘れてツいてない、なんて思っていたけれど、そんなことはなかった。
彼と初めてを迎えるきっかけを作れたのなら、私が下着を忘れたことも決して無意味ではなかったと思う。
とはいえ、もう二度とあんなスリルは味わいたくないので、下着は欠かさず入れておこう、と心に誓った。
了