「だ、だめです」
「いや?」
「いやじゃ、ない、です」
彼は私のブラウスのボタンを、ゆっくりと、じらすように外していった。
一つ、また一つと、私がじれったくなって外そうとすると、彼は私の手を押さえた。
「だめ、これは僕の仕事だから」
どきり、と心臓が一度はねた。そんな優しい声で言われてしまったら、私はもう何も言えなくなってしまう。
彼の仕事は丁寧に、しかし着実に結果を出した。
はらり、と私のブラウスがデスクに落ちた。今度はインナーの裾に手をかけ、ゆっくりとまくり上げた。
「綺麗だ」
「そ、そんな見ないでください……」
へそのあたりを、彼の長くしなやかな指がなぞっていく。
まるで彼の舌で淫靡に嘗め回されているような気持になってしまって、奥底からじわりと愛があふれ出していくことを感じた。
その指はゆっくりとお腹の上を伝って、背中へ回っていった。
「これも外していいですか、高橋さん」
「はい……」
まるで上司に仕事の確認でもするような口調で、私に聞く佐藤さん。
彼の声が私の鼓膜を揺らすたび、愛はあふれ出す。
彼の指は、ためらうことなくホックを外した。
ぱっと広がった私のブラを、彼はめくりあげた。
「高橋さん、綺麗だよ」
「何度も言わないでください……」
彼は私の二つのふくらみを優しく触った。
その触れ方は、今までのどんな男性よりも優しくて、繊細だった。
そして、彼は顔をゆっくりと近づけて、私のふくらみの先にある、とがった突起を口に含んだ。
彼の温かい舌先が、それに触れた。
「ああっ……」
それだけで私は絶頂を迎えそうになってしまった。
「どうしたの?」
彼のいたずらな笑み。
初めて見る表情に、私はきゅんとしてしまった。
かわいい、彼に対してはじめて私はそう思ってしまった。
彼は私の乳首を舐めることに夢中になっている。私もその快感に身をゆだねてしまいたいが、やられっぱなしなのも悔しい。
私は彼のベルトを外した。少しだけ下にずらし、パンツを下ろす。そして、彼の肉棒をきゅっと握った。
「んっ……」
彼の口から快感の声が漏れ出た。
私は彼を握る手を上下させて擦った。
彼のそれは、細い体躯に似合わないくらい太く、固いものだった。
「こんなたぎらせていたなんて、佐藤さんもしかしてむっつりですか?」
「違うよ、君が綺麗だったから」
「も、もう」
それから私たちの愛撫の音だけがしばらく部屋の中に響いた。
くちゅくちゅという音だけが、いつもは社員たちの声やパソコンのキーをたたく音で満たされている部屋に満ちていた。
「気持ちいい、ですか?」
「もちろん」
「じゃあ、これはどうですか?」
私はかがんで、彼の肉棒を口に含んだ。
「ああっ、いきなり……」
毎日清潔にしているのだろう。
彼のそれは、最初こそつんとするような匂いがしたが、むしろ甘みを感じるくらいだった。
「おいひい、です……」
「そ、そんな……、ああ……」
私が肉棒を口に含んだまま舌でなめまわすと、彼はまた小さく息を吐いた。
もしかしたら、彼は舐められるのが好きなのかもしない。
そう思うと、また彼をかわいく思えてしまった。「だ、だめだよ……」
私は一度彼のそれから口を離し、彼を見上げて言った。
「このまま、イって?」
「だ、だめだ、ああ……」
私はもう一度彼のたぎったそれを口に含んで、歯を立てないように気を付けながら上下させた。
どく、どくと脈打つそれは、私の中で暴れまわる。
暴れ馬を舌でいなしながら、何度も何度も吸い込んだ。
「あ、ああ!イく!」
勢いよく流れ出したミルク。
少し量が多くて、私の口からあふれてしまった。
「しゅ、しゅごい……」
口の中にそれが入ったままでは、うまく話せない。
「ご、ごめん、そんなつもりじゃなかったんだけど……」
「い、いへ」
私はハンカチで口元のミルクだけぬぐってしまって、口の中に残っているものは飲み込んでしまった。
彼のミルクは、濃くて、なめらかで、それでいながら嫌な味は全くなかった。
やっぱり、今までの誰のそれとも違った。