あたしは冒頭のことしか頭になかったから、そんな理由でなんて知るか!!
「いらんわ。看護師さんに聞きます」
「あ、それあかんわ。あの方はここの坊ちゃまやから誰も言えませんで」
「…………え?」
「こら!しげ!!」
「あ、言うてもうた」
「え?」
「あはは。そして若かりし頃はわしらが目指してた憧れの特攻隊長やったで」
「あーもー俺は知らんからな」
………
………
………
「叔父さん」
あたしは叔父さんの眠る病室に入った。
「…………寝てるか」
あたしはそっと椅子を取り出して、わきに座った。
眠る叔父さんを見るのは初めてだった。
前みたいに近距離で見たいな。
今なら……
今だけならいいよね。
じっとあたしは叔父さんに顔を近寄せる。
綺麗な顔立ちに嫉妬する。
次第にあたしは貪欲になり、叔父さんへの想いが募って、
ちゅ。とキスをしてしまう。
ゆっくり離れていくと、叔父さんの両手があたしの後頭部をつかんで、またキスをすることになった。
少しだけ起き上がった叔父さんは、空いている手でベッドに引き寄せて、むさぼるようにキスを繰り返す。
「んん、む」
なんだかおかしな気持ちになる。
………
………
だって相手は叔父さんだし…………いいのかな。
あたし叔父さんに近寄れてるのかな。
だとしたら嬉しい。
大好きだから。
叔父さんだけだよ。