マニアック

オンラインセックスのすゝめ

今度、会うとき。

もちろん、私たちがこうして二人でお互いの体をさらし合っているのは、二人でこれからを作るつもりがあるからだった。

それは間違いない。

私は無意識にその言葉を口にしてしまっていたけれど、彼に言い直されて、ようやく気付いた。

私は心から、彼とのこれからを信じていたのだということを。

「あ、あの、確認、なんですけど」

「は、ええと、はい」

「私たちには、これからが、あるんですよね」

「そのつもり、でした」

嘆息。

もちろん、安心の嘆息だ。

「よかった……」

「当たり前田の、クラッカーよ」

私はその言葉でアニメ映画のワンシーンを思い出してしまって、少し面白くなってしまった。

「じゃないと、こんな風に自分の性器を見せたり、しないですよ」

「ですよ、ね」

彼が、画面越しに再びたぎっている肉棒を見せつけてきた。

ついさっき絶頂を迎えばかりには見えないくらい、それは中身がしっかり詰まっていることを感じさせるものだった。

それほどまでにたぎった肉棒を見たのは、本当にいつぶりだろうか。

私はもしもの時のことを考えて机のわきに置いておいたバイブを手に取った。

そして、自分の蜜壺の中へそれを誘い入れた。

彼の、熱くたぎった肉棒が自分の中に入っていることを想像しながら、自分の中に差し込んだ。

「んくぅ……っ!」

思わず声が出てしまうのを、私は抑えられなかった。

きっと、このバイブの太さは、彼の肉棒のそれには届かないと思う。

長さだって、きっと彼のものの方が長いはずだ。

画面越しで見ているだけだから、はっきりとは分からない。

けれど、彼の身長や、部屋の中の家具なんかを見ていると、そのサイズはある程度想像できる。

私はその想像をふくらませながら、もう一度バイブを自分にいざなった。

「あぁ、はぁ……」

いつもよりも、太い何かが自分を貫いているような、そんな錯覚。

入れて、抜いて。

それだけで私の体の奥底が震えた。

「気持ちいい、ですか?」

彼のそんな問いに、

「はい、とても」

私はそう答えた。

見ると、彼の手にもオナホールが握られていた。

赤に白の縞。バイブを持っている私が、それを知らないはずはなかった。

「私の中に、挿れてください」

「はい」

オンラインだから、実際にはそんなことは無理だ。

けれど、画面越しに動きを合わせれば、疑似的にそれを体験することはできるかもしれない。

「で、でも、オナホールと比べられると、私のはそんなに気持ちよく」

ないかもしれません、と続けようと思ったのだが、

「そんなこと、ないです!」

と、彼に食い気味で否定されてしまった。

「あ、その、じ、実際に会ったことは、ないですから、わからないですけど、でも、きっと、その」

きっと勢いに任せていってしまったのだろう。

彼はとても困った様子だったけれど、少しだけ考えて、丁寧に言葉を紡いでくれた。

「栞さんとのセックスは、幸せだと思います」

気持ちいい、じゃなくて、幸せ。

その言葉選びが、私にはとても、嬉しかった。

ただただ、性欲を紛らわすために、私とこうして向かい合っているわけじゃないんだな、ということが、私にはしっかりと、伝わってきた気がした。

彼にそんなつもりは、ないのかもしれない。

けれど、きっと私のこの思いは、勘違いではないはずだ。

私はその気持ちを確かめながら、バイブを彼だと思って自分につなげた。

「んんぅ……」

それと同時に、彼もオナホールに自分の肉棒を挿し込んでいた。

オナホールの下から、少しだけ収まりきらなった彼の肉棒が見えていた。

やっぱりその大きさは、私の見立て通りだった。

私で納まるかな、と不安にもなったけれど、きっと何とかなる、と思った。

「んんっ、はぁ……」

画面越しで、リンクする動き。

次第に、本当に自分の中に入ってきているのが彼のような気がしてきて、自分がめちゃくちゃに犯されているような、そんな気分になってくる。

不思議なものだ。

いつも慰みに使っているはずのバイブなのに、そこからは人間の体温を感じている。

そして、そこはかとない欲望のたぎりを感じている。

私は、オンラインセックスのなんたるかを、まったく理解していなかった。

現実のつながりよりも、それはもしかすると濃厚なつながりを、感じさせたのだ。

バイブの震えが、彼の肉棒の拍動に思える。

その拍動に合わせて、私の腰が震える。

私が快感を抱くところを、彼の肉棒がまさぐっている。

そう感じる。

気持ちいい。

目をつぶると、彼の体に包み込まれているように、感じた。

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