マニアック

オンラインセックスのすゝめ

ん、今僕は何を言ったんだ?なんだか、僕はとても大切なことを、何でもないように言ってしまった気がする。

酔いは怖い。

いつもなら隠せるはずの本心を、ポロリとこぼしてしまう。

「あ、あの……」

画面を見ると、彼女が真っ赤な顔でこちらを見ていた。

僕は何を言った?もしかして……。

「僕、Rinさんに告白、してました?」

「……はい」

うつむきがちな彼女。

僕は、勢いでとんでもないことを言ってしまったらしい。

「あ、えっと、さっきのは勢いで、あの、嘘じゃないんですけど、なんというか……」

僕はとっさに何かごまかさなくては、と思ってしまった。

けれど、僕はそこではたと思い直した。

本当に思っていることをごまかす必要なんて、果たしてあるのだろうか。

「その、僕」

「はい」

「Rinさんのことが好きです」

一瞬の沈黙。

「私も、同じ気持ちです」

彼女からの答えは、僕の予想を上回るものだった。

まさか、彼女からも同じ答えを得られるとは、僕も思っていなかった。

もちろん、まったく予感を抱いていなかったわけではない。

けれど、こんなにすぐに同じ結論に達することになるとは、僕も思っていなかったのだ。

「まだ実際には会ってない、ですけど……」

彼女は言葉をつづけた。

「それでも、この気持ちはきっと変わらないと思うんです。なんとなく、会っても気持ちが強まるだけで、弱まることはないだろうなって」

僕は息が止まりそうになっていた。

「僕も、そう思います」

きっと、今対面していたら僕はきっと。

「抱きしめたい……」

「え?」

僕の言おうと思っていた言葉を、彼女が先に口に出していました。

「あ、す、すみません。なんか、Shinさんのことをもっと近くで感じたいなって……」

「真治です」

「え?」

「僕の名前はShinじゃなくて、真治しんじです」

彼女は少し、面食らったような表情をしたけれど、すぐに表情をとりなして、身を乗り出すように顔を画面に近づけた。

「私も、Rinじゃなくて、しおりです」

「栞さん」

「真治さん」

僕たちはお互いに名前を呼びあった。

この気持ちの高ぶりをどうすればいいのだろう。

彼女を、栞さんを抱きしめたい、というこの狂おしいほど強いこの気持ちを、どうすればいいのだろう。

「あの、ばかばかしいかもしれないんですけど……」

僕が何も言えず、ただ頭の中をぐるぐるといろんな考えで満たしていた時だった。

「オンラインセックスって、知ってますか……?」

彼女は、そんなことを聞いてきた。

「え?」

僕はただ、阿呆のようにそう尋ねるしかできなかった。

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