姉は勉強もできなかったので偏差値が低い高校だったけど、
専門的な学科が複数ある学校だから生徒は皆、資格試験や実習などで忙しい。
進学クラスの生徒は進学するために勉強漬けだし、
いちいち低レベルを這う姉の相手なんてしてられない。
誰からもまともに相手にされない姉は、
今度は教師に皆からハブられると泣きついた。
でも姉のアホなやらかしは、先生たちにしっかりバレてた。
生徒が問題にしないから、教師陣は様子見で静観してただけ。
姉は教師から慰められるどころか、
きちんと課題を提出しないことを叱られただけ。
姉の言う
「皆がいじめる」
はまともに取り上げられなかった。
姉は次の手段として親にいじめを訴えたけど、両親にもバレバレ。
卒業まで、しっかり高校に通わされた。
両親は姉の所業を知ってて、
何度も注意したけど一向に矯正されなかった。
何が悪いんだろうと、父さんも母さんもいつも悩んでた。
私や妹達が見てる限り、両親は私達に平等だったと思う。
姉は高校卒業後、会社に就職したけど人間関係が原因で辞めた。
今は遠縁の工場で働いてる。
私は商業高校を卒業してから、地元で有名な会社に採用された。
頭のいい三女は一流大学卒業後に大手の企業に就職、
四女は現在キャンパスライフを楽しんでる。
姉は私達に会う度「自分だけ不幸」を繰り返すけど、皆で聞き流してる。
そんなある日、従妹のリンちゃんが婚約報告のために私の実家に来た。
リンちゃんの婚約者も一緒だった。
実家には両親と、珍しく四姉妹が揃っていた。
ちょっと地味だけど、リンちゃんは誰からも好かれる。
そんなリンちゃんの婚約者はイケメンの優しそうな人だった。
リンちゃんが働いてる会社の取引先の男性で
合同パーティーで会った瞬間に彼女に一目惚れしたらしい。
和気あいあいとした空気が流れる中、
私は姉がおかしいことに気がついた。
うまく言えないけど、好物を前に
「待て」
をさせられてる犬が涎をたらしているような顔だった。
犬だったら可愛いもんだけど、人間のああいう顔は本当に気持ち悪いと思う。
しかも姉は30を超えた年。
顔つきに、今までの人生が浮かびあがってくる年だ。
その頃の姉の顔は醜いなんて言葉では表現できないほど、
見るのも嫌な顔になっていた。
そんな姉が食い入るようにリンちゃんの婚約者を見ていて、
私は不快で吐きそうなほどに気持ち悪く感じた。