マニアック

大人の息抜き

 旦那意外と肉体関係を結ぶことが浮気だというのなら、

世の中の風俗店は軒並みそれを容認しているわけで

私がしようとしていることだってそれの一環だ。

 それでも、新婚であるからには気を使っていたのは事実。

 一方で、明らかに怒っている私に対し、連絡の一つも入れない旦那。

 反省のはの字もなければ自分を顧みることのできない彼に心底がっかりする。

もうスマホを見るとイライラするだけなので電源に手をかけた。

「もう、知ーらない」

 気が引けるという感情も、電源と一緒にオフにした。

(それにしても、ちょっと見ないうちにますます豪華になったのね……)

 脱衣所で衣服を脱ぎながらあたりを見渡す。

 そこらのスーパー銭湯よりよっぽどきれいな室内はアメニティも充実しているから驚きだ。

リゾートホテルにも匹敵するバスルームで軽く身体を洗い、疲れた顔をマッサージでほぐす。

 肌に心地い強さのシャワーを浴びながらうっとりとため息をこぼした。

「はぁー……家事に気を取られないでいられるのなんていつぶりだろ……」

 この施設のいい所は、化粧やファッションで着飾って街に繰り出さなくても、

「セックスがしたい」

という意思さえあれば身一つで来られるところかもしれない。

 それこそ、部屋着で家出した私にはぴったりだ。

「さて、と。行きますか」

 すこしの緊張と、大きな期待を胸に、私は混浴風呂の扉を開ける。

 まず目に飛び込んできたのは、真ん中に噴水を構える大きな浴槽。

子供向け温水プールにも似たメルヘンチックな浴室に対して、

あたりに立ち込める湯気の合間に絡み合う男女の姿が見える。

 それはまさに、非日常の大人の楽園。

「お姉さん一人?」

 湯舟に浸かったとき、声をかけてきたのは同年代のサラリーマン風の男性だった。

 その瞬間、私はざまあみろと笑うことがやめられなかった。
………

………

………

「あぁっ! んんっ……ふぁ、きもちぃー……」

「えー? もうそんなに反応してくれんの? さては相当まってた?」

 彼は少し茶化したような声音で、後ろから抱き着くような体制で私の胸を揉みしだく。

 意味をなさくなったタオルはとっくにはぎ取られ、

ゆるく反応し始めた乳首をきゅっと摘ままれた。

「んっ」

 びりっとした刺激に身体を竦めると、首筋をじっとりと舐められる。

柔らかくも嫌らしい刺激に

「あぁ……っ」

っと声を我慢することができない。

「いい反応だなぁ……。そうだ、お姉さん、なんて呼べばいい? 俺は『タケル』」

「えっと……『ハルカ』で……」

「ハルカちゃん、はじめてじゃないんでしょ? そのわりに緊張しているね」

 彼、タケルはおそらく偽名。

当然、私も本当の名前を名乗らない。

なんとなく、タケルのこなれていそうな感じに期待が募る。

「久しぶりなの……。ここに来るのも、こういうことするのも」

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