マニアック

王様ゲーム

「あ、もう2時間かー……どうする?」

「場所変える?」

「あ、じゃあ俺のアパートにする?ちょっと広いから6人でも大丈夫だし」

くにかずがそう提案し、すぐに決まった。

アパートへの道すがらコンビニでアルコールを購入し、6人で固まって歩く。

いつもは同性の友人でも少し距離を保って歩く凛花だったが、アルコールが入っていることもあり、肩が当たるほど密着しても気にならなかった。

くにかずのアパートは駅からすぐ近くで、本人が言うように一人暮らしにしては少し広めの部屋だった。

ベッドとローテーブルが置いてあり、いくつか大き目のクッションが散らかっている。

茶色い絨毯が部屋全体に敷いてあって、小ぎれいな印象を受ける部屋だった。

「さー、じゃあ、改めて」

「「「かんぱーい♪」」」

全員の缶がコツリと当たり、一気にアルコールを喉に流し込む。

すぐに王様ゲームの続きが始まった。

「はーい、今回の王様私です♪二次会ってことで盛り上げていくよーっ!」

きよみがハイテンションで手を上げる。酔っ払っていて、いつも高いテンションが更に高かった。

「じゃあねー、今度は……3番と4番が恋人つなぎ!10秒!」

「えっ3番私なんだけど!」

「4番俺~!」

驚く凛花に、シオヤが楽しそうにそう笑いかけてくる。

「シオヤくんと凛花、恋人つなぎして~!はい、じゃあ10秒スタート!」

心の準備も出来ていないままに、シオヤに指を絡められる。

熱を帯びたシオヤの掌がぎゅう、と自分の手を握ってきて、凛花は思わずドキドキしてしまった。

「凛花ちゃん緊張してるっしょ?」

「えっ、し、てないし……っ!」

シオヤに指摘され、恥ずかしくて強がる凛花を他のメンバーが笑う。

その命令から、次第に内容が過激になっていった。

「じゃあ次は、1番が5番の頬にキス!」

「1番俺……5番は?」

伊織が手を上げると、きよみが

「はーい、私でーす!」

と名乗りを上げる。

ちゅ、と伊織がきよみの頬に口づけると、周りは大盛り上がりだった。

アルコールと場の空気、そして少しずつ性を意識させる命令に、6人の空気も変わっていく。

「じゃあ、2番と5番が……20秒キスで。誰~?」

「あ、5番私だ……」

「2番は俺だー、え、本当にいいの?」

2番のくにかずが困ったように笑いながら、5番を引いた園子に近づく。

「じゃあ……」

園子の肩に手をのせ、ゆっくりと顔を近づけ――園子とくにかずがキスをした。

「いーち、にーい、さーん、しー」

20秒をまわりがカウントする。

最初は触れていただけの唇が、ゆっくりと動き出すのに時間はかからなかった。

「ん……」

二人の頭が揺れ、舌が口内へ差し込まれる。

小さく水音を立てながら二人は深くキスをし合い、まるで恋人のような雰囲気が流れ始めた。

20秒のカウントが終わり、二人の唇が離れていく。

「えー、やばいでしょこれ(笑)」

「20秒は長いよ、この命令過激すぎる~」

そんなことを言って笑いながらも、園子とくにかずは明らかに興奮していた。

次の王様はくにかずだった。

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