ピコん。
とLINEの通知音が鳴った。
見るとそれはあおいからだった。
見ているのは、仲野翼。
超人気売れっ子、俳優兼歌手。
LINEを見るとどうやら新作のケーキの写真だった。
写真を見ながら微笑んでいると、後ろから名前を呼ばれたために振り返った。
「翼さん!!こんにちは!!」
「あー…えーっと…」
「杉村朱音です!この間一緒に飲みに行きましたよ?忘れちゃったんですか?まーお酒の席ですからね!」
正直、翼は特に何も感情を持たない人は、覚えていない。
「初の共演ですね!よろしくお願いいたします!」
「うん、よろしく」
「それで…よかったら今日の撮影後に飲みに行きませんか?」
「うーん。そうだな。いいよ」
「やった!!」
そして追加でLINEが鳴った。
見ると母親からで、【今日はあおいちゃんの誕生日だけど、帰ってくるの?】というもの。
慌ててカレンダーを見ると、確かに誕生日だ。
どうやら本人は覚えていないので、ただただLINEをしているだけだった。
「ごめん今日はいけないや。ちょっと用事できた」
「えー?」
「撮影終わったら実家帰んなきゃでさ。またね」
可愛いと評判の良い朱音は、がっかりする。
「朱音ちゃん」
「あ、マネージャー」
「翼くんは諦めな。好きな人いるから」
「でも…行ってくるよマネージャー!!!!」
朱音は諦めずに翼の後を追った。