話はすべて聞いた。
わたしたち夫婦にはそれぞれほかに相手がいて、本当は別れたがってる。
そしてそれでも別れられないのは子どもがいるから。
お前は愛されてない。
誰からも相手にしてもらえないんだと言われ続けていたとのことだった。
あながち外れているわけではない。
だからこそ、わたしたちは心から思った。
「月。ママとパパはずっと月を待ってた。それを少し忘れていたみたいだ。でも誰より月を好きだし大切なんだ。だから安心しろ」
「そうだね。大好きだよ月、パパ」
「…よかった…」
それだけ言うと死んだように眠った。
どうやらしばらく眠っていなかった様子。
背中をポンポンとしていると安心した表情になっていた。
祥の手を取って、わたしは謝った。
「こんなに祥が好きなのに、浮気してごめんなさい」
「お互い様だ。俺も…ごめん」
「…大好きだよ」
「あーもーそうやって言ってたら……」
見つめあう夫婦。
見つめあうこの感情は久しぶりだった。
自然と顔を寄せ合ってキスをした。
あんなにセックスしても埋まらなかった寂しさは、あっという間に埋まった。
彼が言っていた「戻る」という意味がわかった。
キスの後は指を絡ませて、祥はわたしを抱っこしてベッドへ向かった。
その日はセックスするのではなく、ただただずっとキスをしていた。
それだけで十分心休まる。
わたしは・・・
………
………
私には一生、祥が・・・
………
………
………
祥だけを好きでい続けるんだろう。
………
………
………
と
心から、そう思う。
- FIN -