ラブラブ

セックスでダイエットは楽じゃない

私、理奈りなの夫である将人まさとさんは、私を「リンちゃん」と呼ぶ。

将人さんは最近悩んでいる。

どうやらお腹が出てきたらしい。

将人さんは元々は水泳をやっていた。

当時は筋肉質でガッシリしていて、イケメンで目立つというほどではないけど顔立ちは整ってる。

だから男前選手なんて言われてた。

将人さんと出会ったのは高校に入学してから数日後の部活動紹介。

どの部員よりも体格が飛びぬけていいから、とっても目立ってた。

私は陸上部に入部したから直接の関わりはないはずだったけど、将人さんは体力作りのために水泳部の活動がない時は陸上部に混じって走っていたので何となく仲良くなった。

将人さんの恵まれた体格は、ひいおじいさんが黒人さんだかららしい。

「戦後すぐに進駐軍として日本に来ていたおじいさんが、夫を戦争で亡くして未亡人となっていたおばあさんと出会い、涙涙の大恋愛の末に結婚した」と、嘘か本当か分からない話をしてくれた。

ただひいおじいさんが黒人さんだったのは本当で、もう亡くなってるけど遺影に写っているひいおじいさんは黒人さんだし、将人さんのおじいさんは明らかに日本人と黒人のハーフだ。

ちなみにひいおじいさん夫婦は死ぬまで熱々カップルだったとか。

将人さんは「ひいおじいさんがくれた恵まれた体格(本人の言)」を活かし、水泳の世界で次々と賞を総なめしていた。

大学でも水泳部に入部して賞を取り続けていたので、オリンピック出場もささやかれていた。

そんな時、将人さんは足を故障してしまった。回復までにはかなり時間を要するとの診断もおりた。

「これは、ひいじいちゃんが別の道を進みなさいと言っているに違いない」と、将人さんはあっさり水泳の世界から身をひいた。

私はそんな将人さんのポジティブさが好きだ。将人さんのおじいさんの話では、ひいおじいさんもとにかく前向きな人だったらしい。

「本当はオリンピックに出られたら告白するつもりだったんだけど」と、将人さんから告白された。私は即OK。

私が大学卒業してからすぐに結婚して、夫婦共働きで仲良く暮らしている。

そんなある日、珍しく将人さんが深刻な表情で私に話しかけてきた。

「最近、腹が出てきた気がする」

「そう?あまりそうとは感じないけどね」

私は本心から返した。

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