図星だった。
だって亮太さんはいつも優しくて、おおらかで、素敵な笑顔で癒してくれる存在。
だからもっともっと知りたかった。
………
………
「気になりません!」
「そっか。残念。あ、この辺はタクシーがいるから乗ってどっかいこうか。」
「はい!」
手を挙げてタクシーを止めると、レディファーストをしてくれて乗り込んだ。
場所は亮太さんの行きつけというバーに向かった。
そのお店は“なりゆき”という名前だ。
なんだか意味深なような、なにもないような…………
いやなりゆきが通用するならこのまま亮太さんと話していたいな。
別にそれ以上を望んでいるわけではない。
だって亮太さんにはいつも女性が集まってて、
あたしなんてその人たちから比べたら月とすっぽん。
愚痴を吐き出しにしかこない迷惑な客なはず。
今日だって、亮太さんにあたしが愚痴って自棄になってたから付き合ってくれているだけ。
そう、それだけなんだ。
…………
…………
バーに入ると、早速亮太さんを知る店員さんが来てくれた。
「よう亮太。今日は彼女連れか?」
なに!!??
止めて違う!!
亮太さんはあたしなんか相手にしてないから!
「はははー。それより二人で飲みたいんだけど」
「おーおー珍しいな。いいぜ、部屋はあるから。それより彼女可愛いねーー。俺はカズです!」
「へ!?あ、えっと、藤本千鶴です」
「千鶴ちゃんかー。名前もいいねー。亮太なんてやめて俺にしない?」
「いいえいいえ!そんな!!」
というか否定して!?亮太さん!
「えっと、あの、その………」
グイっと近くで顔を見られて恥ずかしい。
助けてくださいよ、亮太さん!!!