マニアック

主婦の献身

「えぇ?! そんなの本当にあるの?!」

「ど、どこに?」

 つい溢れた大きな声を慌ててひそめて、私たちは顔を付き合わす。

「隣町に皐月さつき旅館ってあるでしょ? あそこに裏メニューがあるの」

「えー! あそこって高級旅館のイメージなんだけど……!」

「だからこそじゃない? 昔の性接待の名残なのかも」
………

………
 なぜ里香がそんなことを知っているのか。

 幸穂と私は顔を見合わせ、息を呑む。

「い、行ったの?」

 里香は口元を隠したけれど、その耳は真っ赤で……。

「最高だった、としか言えないかな」

 どんなに隠しても溢れ出る満足感に、私と幸穂は羨ましくて声にならない悲鳴を上げた。

「んんんんっ! ぜひ! 行きたい! です! ねぇ沙奈!」

 幸穂の血気迫る表情に若干引きつつ……確かにひどいセックスしかできない

(しかも日常的に大切にしてくれない)旦那に、私は何を遠慮しているんだろう?

 このままでは、まずい。

 私が頷くと、里香はスマホの画面を見せてくれた。

「じゃあ、予約しましょうか」

 アダルトな小旅行に私達は期待と不安で胸を膨らませた。

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