マニアック

天才博士からの開発

19時、就業の時間を迎えて、向井佳菜子むかいかなこは自分のパソコンをスリープモードにした。

佳菜子は医療機器を開発する会社の販売部に務める、転職一年目の下っ端である。

「私このあと開発室に来るように言われてるので、帰り支度してから向かいますね。開発室での仕事が終わったら直帰します」

「ほい、お疲れ」

先輩たちが軽い調子でよこす返事を耳に、私はカバンに書類と携帯を放り込んで席を立った。

販売部の一階上にある開発室には、天才と名高い開発者たちが数人働いており、部署間の連絡や物品の受け渡しに、私はよく使いっぱしりさせられている。

佳菜子は今朝室長から届いたメールで、「就業後少し顔を出してくれ」と言われていた。

「先輩たちは今日も残業ですか?」

「うーん、最近忙しいからなぁ。ちょっとだけ」

「うちの商品に需要があるのは嬉しいですけどね。お互い早く帰れるといいですね、では!」

「おう、頑張れ」

あちこちから「行って来い」「頑張れ」などという声が聞こえる。

それは何も先輩たちが揃いも揃って気のいい人たちと言うわけではない。

私が今から出向く開発室の室長が、結構な変わり者であり、会話すると気力を持っていかれるとわかっているからだった。

 

「あーぁ、佳菜子ちゃんグチャグチャだねぇ……。可愛い顔も、ココも」

長い指を蜜穴みつあなに咥え込まされ、佳菜子は唇を噛み締めながらビクビクと身体を跳ね上げた。

「佳菜子ちゃんは何処でも感じるんだねぇ。何処に触られてもイイなんて淫乱なのかな?」

「……っ、は、やぁ………!」

とろけた蜜穴の浅くを探っていた指が、ヌラヌラと奥へ入り込む。

快楽神経を引っ掻くような巧みな刺激に、佳菜子は堪らず生理的な涙を零した。

「ふっふっふ、アルファ1波やシータ波が乱れに乱れてるよ。Gスポットをこうやって弄られるの弱いんだ?ああ、否定も肯定もいらないよ。脳波の値に全部出てるから」

東雲しののめ室長は楽しそうにそう言うと、三本目の指を蜜壺みつつぼに潜り込ませてきた。

人差し指と薬指で肉壁をゆるく押し開き、中指を鉤爪かぎづめのようにして佳菜子のGスポットを引っ掻く。

「あ゛っ、あ、お!?ひっう゛……!」

「はは!脳波計測値ぐっちゃぐちゃ。このままイっちゃうのかな?」

「ん゛、ぅ゛う、うぅう……!っ、い、イ」

佳菜子は濁点混じりの呻き声を上げながら、どうしてこんな事になったのかを、頭の片隅で思い返していた。

………

………

………

セキュリティをカードキーで解除して、いつもどおりに訪れた開発室には、珍しく室長の姿しかなかった。

普段忙しなくパソコンのキーを叩いたり、モニターを囲んで議論している開発者の姿は見えない。

「お疲れさまです、室長。メールの通りに顔出しに来ました」

「ああ、お疲れ。ちょっとこっち来て、そこ座って。はい、これ頭にかぶって」

「はぁ……?」

佳菜子は首を傾げながらも、招かれるまま室長に近付き、リクライニングソファに腰を降ろした。

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