マニアック

私はいつでもお姉ちゃんより上

お姉ちゃんはブスだ。

化粧をしたって、全然きれいにならない。

勉強はできるけど、無口で何を考えてるか分かんない。

勉強だけはできるお姉ちゃんは一流大学に通ってたけど、勤め先は全然有名じゃない誰も知らない会社。

反対に妹の私はとっても美人。

パパとママも美形なのに、なぜかお姉ちゃんは全然似てない。

産院で取り違えられたんじゃないかって、パパとママはいつも笑ってたし、お姉ちゃんをからかってた。

それに対して、お姉ちゃんは何も言わない。

たまに「そんなこと言わないでよ」と返すだけ。

パパはお姉ちゃんを「女らしさのないめんどくさい娘」、ママは「冗談も言えないつまらない子」と言ってる。

私はいつでもどこでも、皆から「きれい」と言われる。

男性は年上も同年代も、皆、私を好きになる。

でも、嫉妬深い女達はめんどくさい。

私はそいつらから「性格ブス」と陰口を言われてる。

はあ…。ブスのひがみって本当にめんどくさい。
………

………

………

お正月。

パパの実家は田舎にある。

田舎って、親戚が結構近くにまとまって暮らしてるんだよね。

だから、お正月はとって賑やか。

そして、いつも親戚から注目を集めるのは私。

昔から今に至るまで、私はずっとアイドルだ。

おじいちゃんの家に着いた私は声をかけてくるおばさん達には適当に挨拶を返して、おじさん達が既に酒盛りしている広間に直行した。

「おじさん達、明けましておめでとうございま~すぅ~」

私を見たおじさん達は、

「おめでとー」

「詩乃ちゃん、また美人になったなー」

と言ってくれた。

「私も一緒に飲んでいい~?」

「いいよ、いいよ。美人が来たら、華やぐから」

私はおじさん達の側に座った。

「詩乃ちゃん、何歳になった?」

「22だよ」

「まだ、若いなあ」

私はおじさん達とお酒を飲み始める。

女性陣はたぶん台所。

まだ女性がごちそうの支度をするって悪習があるけど、美人で人気者の私には関係ない。
………

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