恋のはじまり

営業×営業

あたしは絶対に嫌われている。

そう、思われていると確証している。

だってその証拠に話しかけても返答がないし、

あっても本当にそっけない。

だからあたしは近くにいたらダメなんだ。

でもあたしは彼のことが‥‥‥
………

………

………

「出張!?」

場面は変わり、仕事中に課長に呼ばれたあたしは聞きなれないワードを繰り返した。

「そうだよ。ただこのままお前ひとり行かせるなんて無茶なぞ言わん」

そりゃ当然だ。

村城総一むらしろそういちがお前を補佐する」

「‥‥‥え、課長、なんて、今‥‥‥」

「だから、村城を連れていけ!」

ちょっとまてぇ!!

村城総一!?

アイツあたしをかなり嫌ってるんだよ!?

それなのに二人で出張なんて‥‥身が持たないわ!

「課長!申し訳ございませんが!!」

あたしは混乱している脳みそをリセットして、課長のデスクに手をついた。

そしたら急に隣から声がした。

「いやー。一ノ瀬いちのせさんと出張なんて嬉しい限りです」

おーまいがー

まさかここでご本人様登場とは。

しかもうれしい!?

嫌味かこんちくしょーー!!

「一ノ瀬!」

「はいぃ!!」

あたしは課長に名前を呼ばれてシャキッと気を戻す。

「頑張ってこいよ」

「でもあたしまだ行くなんて‥‥‥」

「一ノ瀬さん、頑張りましょうね」

どいつもこいつも腹が黒いんじゃ!!!

課長はあたしの直属部下だから成績を上げたい。

さらに落ち込んでる成績の原因を知るには、自分が信頼していて、

なおかつ成績が優秀な人を使うしかない。

そしてそしてあたしは成績優秀な村城総一を補佐に回すことで

【うちの部署には優秀が多いんですよー】

と専務や社長に宣伝したいんだろう。

ほんっとにこちらのお気持ちを分かってくださらない!!!!

‥‥‥

‥‥‥

‥‥‥

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