マニアック

出会ったばかりの二人が‥

「ごめん雪乃ゆきの。ほかに好きなやつができた」

なんで?

「これからはその子だけを見たいから、さ‥‥‥わかるだろ?」

わからないよ。

「じゃ、そういうことで」

あっさりとよく言えたな、こいつ。

気が付けばあたしは別れを言ってきた元彼氏に殴りかかった。

「うわ!!!」

外されたが、そのあとのミドルキックはかわせずでヒット。

「いっ‥‥‥」

「あんたバカァ?アンタの下心見え見えでバレないとでも?」

「なんだよ!」

「あのね、あんたの他の好きな子が誰か当ててやろうか?どーせ胡桃くるみでしょ?」

図星の表情だ。

胡桃‥‥‥また胡桃か。

「いい?ハッキリ言って胡桃なのはバレバレ。あたしんち遊びに来た時に胡桃にアプローチしてたでしょ。可愛いって」

そう、胡桃というのは一緒に暮らしている妹のこと。

いつだって胡桃はみんなの一番だ。

家族からも、好きな人からも。

何もかも胡桃はさらっていくんだ。

「あ、当たり前だろ。ガサツなお前とはまるで違うからな!俺のこと言う前に女磨きしろよ」

プッチーン。

「余計なお世話だから。もうさ、二度とあたしたちのところに来ないで」

そういって終わった、20歳の夏。

今度こそ、あたしを選んでくれると信じていた彼氏から裏切られ、

今日、21歳になりました。

‥‥‥

‥‥‥

‥‥‥

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