それはある日の出来事です。
あたしはけっこうマゾな部分があるのですが、
出来た彼氏にはバレないように付き合っています。
なぜか?
それはもちろんご想像通りかと。
そうです、彼氏がマゾだからです。
嫌われたくない一心がどこかあって、
あたしはサドを演じています。
そのマゾの彼氏からはすでに結婚の話が出ています。
あたし‥‥サドを演じてこの先の人生を過ごしていかなければならないのかな。
けれども彼氏には情もあるからこそ、悩む。
そんなあたしの目の前に、
この人生をひっくり返すような出来事があった。
‥‥‥
‥‥‥
あたしは今までと同様に、
彼氏と時間を過ごしていました。
すると偶然にも、高校の時の同級生から電話がかかってきた。
あたしのスマートフォンには
彼氏はマゾだし嫉妬深いから、反射的に隠してしまった。
不思議がった彼氏は不満そうな表情をしている。
慌ててあたしは電話に出る。
「あ、もしもしお母さん!?」
ごめんね日下部くん!
お母さんの振り劇場に力を貸して!!
「お母さんからの電話か?」
「う、うん!そう!なんか込み入った話らしいから外で話してくる!」
「わかったよ」
「待ってて!!」
「お母さんによろしくね。今度会いに行きますって」
「うん!!」
なんとなく、罪悪感を持ったままあたしは一人で寒い外へ出た。
「ごめん!急に!!」
<「いいよ。それより急にお母さんって‥‥はは」>
「ごめんね。彼氏が嫉妬深いから‥‥‥」
<「彼氏といたのか。ごめんな」>
「ううんいいの。それよりどうしたの?」
<「実はさ、同窓会やろうって話が函館であってさ。お前これる?」>
なるほど。
地元の函館でその話題があったのか。