恋のはじまり

甘く、解される

「え、えっちなこと、考えちゃうの?」

「……っ! 思春期かよって思われるかもですけど、仕事中に勃ったの、マジで史華さんにだけっスからね?!」

「そ、そんなに、私の声ってえっちかなぁ?」

「エロいっスね。ていうか、もっと鳴かせたくなる。
初めて俺の手でマッサージした時に、うっとりしていい声で鳴いてくれるから、1人でいる時にそればっかり思い出しちゃって。
めちゃくちゃムラムラしましたよ。この人セックスのときにはどうなんのかなーとか……どちゃクソにガンガン責めてぇなって妄想しているうちは良かったんスけど、
だんだん仕事中にも理性が効かなくなってきて……絶対勃たないように親父の顔を思い出してたんスけど」

 開き直った雄司君は馬鹿正直だった。

 まさかの声が原因だったとは。

 そんなに卑猥ひわいに聞こえるんじゃ控えなきゃなぁと反省した時だ。
………

………
「あんっ」

 雄司君は肩甲骨の、絶妙に気持ちいいところをぐりぐりと指圧する。

「俺だけに聞かせてくださいよ、史華さんの可愛い声」

「か、かわいく、なんかぁ、あぁっ!」

 否定したいけれど、的確にコリを捉えられこりこりぐりぐりされると何もかもがどうでもよくなる。

 身体中の悪いものが浄化されていくみたい。

「ん、身体だいぶキてましたけど、一応は解れましたね」

「……して欲しいな」

「もっとスか?」

「そうじゃなくて……雄司君が私にしていた妄想の内容」
 
 ぴしっと音がするくらい雄司君は安直に固まった。

 しばしの静寂せいじゃくは、彼の葛藤かっとうを物語っていて、私は意を決して続ける。

「一応……そういうお誘いのつもりなんだけど……だめ?」

「だめ……じゃない、です」

 雄司君の眼は、餌を目前に我慢させられていた獣の表情から捕食者へと変わる。

ギラついたそれは私をたかぶらせるには十分すぎる。

「ん……」

 手を引かれ、正面を向き合い、重ねられた唇。

 そういえば、私達が向き合うことはあまりなくて、雄司君の顔が近くにあるだけでドキドキしてしまう。

「ん……ふ、ふぁ、はむ、んん……」

 何度も角度を変えては深くなるキス。

唇の柔らかい感触にとろけそうになる。

そろりと忍び込んだ舌が、やがて大胆に口内を暴れ、上顎うわあごをとろとろとなぞる頃には息が上がっていた。

「ん……はむ、ちゅぅ……ふ」

 たっぷりの唾液をまとった舌が絡み合う。

グイグイくる雄司君が可愛くて、ちゅう、と優しく吸えば、それを叱るようにぢゅうぅっとやり返される。

「ふぁ……ん、雄司君……」

 こんなに満たされるキス、初めてかもしれない。

熱に浮かされた身体を早く暴かれたくなってしまい雄司君を見上げると、彼の喉がごくりと上下した。

 ――ぢゅう、ぢゅぅうう! ぢゅるっぢゅぢゅぼっ

「はぅっ、んぐっ……んんっんっ!」

 まるで私を食べ尽くすかのように、突然激しくなるキス。

どれだけ雄司君が遠慮してくれていたのかが思い知らされる。

舌を絡めとられ、しつこく口内を暴れて、でもその荒らしさすら愛おしい。

「……史華さん、今からマジで抱きますんで……やっぱ辞めるとか、無しですからね」

「ん……いいよ……私も雄司君としたいな……」

 互いの生き物を奪うようにキスを重ねていくうち、雄司君の大きな手のひらが私の胸をとらえる。

「ん……」

 服の上から大胆に揉みしだかれると、キスで高められた体がさらにふわふわして気持ちいい。

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