中学三年の頃から毎日ベッドの中でキスをしたり優しく抱擁されたり、ギュッと乳房を握られたり、ネチャネチャといやらしいよがり声を出す雌しべに熱く硬い触覚が出し入れするのを想像しながら、本物の熱い触覚をねだる濡れた雌しべを細い指先で慰めてやっていた。
美由紀は男の身体を欲していた。
暫くして、誰かの足音がこちらに近付くのに気づいてドアの方に目をやった。
誰かの足音ーそれが誰かは明白であるードアの前で止まった。
少し間を置いて、ノックをした。
いつもであれば大きな声で返事したが、今は違う。
美由紀は相手の反応をうかがうように黙ってドアをじっと見つめていた。
圭介の部屋で起こった沈黙と同じ静けさが漂っていた。
もう一度、ノックがされた。
美由紀はやはり黙っていた。
「美由紀、入るよ」
ドアが開いて圭介が神妙な面持で入って来た。
美由紀はわざと眉間に
圭介は何か紛らすために意味もなく部屋の中をぐるりと見回していた。
そして何か決心したように美由紀の横に腰を下ろした。
美由紀はわざとうららかな窓外に目を移した。
しかし心は決してうららかでなかった。
激しく動揺していた。
再び部屋の中に静けさが響き渡っていた。
「美由紀」
何となく名前を呼んで、自分から目をそむけて大して面白くない外の景色をどこか緊張した様子で眺めている美由紀の項を見た。
美由紀はいつも後髪を一つに束ねて白く清らかな首筋を露わにしていた。それは美しかった。
「美由紀、ごめんな」
美由紀は微動だにせず黙っていた。
近くをカラスが鳴いて通る。
「別にあれはわざとじゃないんだよ、美由紀に見せようとかそんな事思ってあんな事したんじゃないんだ」
「わざとじゃないって、そんなのわかってるよ」
「うん」
圭介はうつむいた。
「私も悪かったと思ってる。ノックもしないで部屋に入っちゃって。でもあんな事してるとは思わなかったから…」
「いや、全然、美由紀は何にも悪くないよ。悪いのは俺だよ」
またまた沈黙が二人の間をたなびいた。
「美由紀、お願いがあるんだけどいいか」
美由紀は圭介の顔を見た。
何か期待しているような目に圭介は少し当惑した。
潤った目が美しかった。
「多分、美由紀は言わないだろうけどさ、この事誰にも言わないでくれるか?」
「そんな事言う訳ないじゃん。お母さんにもお父さんにもこんな事言えないよ」
美由紀はがっかりしたという風にため息をしてうつむくと、呆れたように嫌な感じを露骨にして言った。圭介は美由紀の暗い横顔を見つめながら、さっきまでの何か期待するような目や声などを思い浮かべて、自分の考えが正しいのか探った。
まさかとは思っても、兄妹の事である、やはり美由紀の期待していることが圭介には何となく知れた。
しかしそれがいけない事だと自覚して、そんな事を期待する自分を責めているのも知れた。
どうしたら良いのかわからなかった。
「ねぇ、兄妹がエッチするのって駄目なのかな?」