車を走らせること約30分。
なんだか重い空気が漂う。
「‥‥‥先生?」
「ん-」
「何かありました‥‥‥?」
「どうしてそう思う?」
「なんか、いつも女子に囲まれている先生と空気が違う感じがした」
「ははっ。‥‥いや、こうもバレるとは」
「‥‥‥」
「なんか別れてほしいって言われたんだ。彼女に」
先生がこんなプライベートな話をするかと驚いた。
「彼女いたんですね」
「あ、ショックか?」
「いえ、別に」
「悲しいなあ。そんなに即答するなよ。先生泣いちゃう」
「泣けばいいじゃないですか」
先生を見れば、目を開いて驚いていた。
けど元気がない先生がなぜか心配している自分がいた。
「先生は先生です。無理しなくても、泣いても、いいんですよ」
気が付けばあたしは笑顔で先生を慰めている。
心から、安堂先生が悲しくてつらい表情をさせたくないと思ったから。
大人数で楽しく過ごす先生が本当の先生だなんて思ってない。
こういう人こそ弱くて
「まいったな‥‥‥」
「??」
車はキキッと停車する。
「せんせ‥‥‥?」
なんだか良くない予感が、頭をよぎる。
「これは‥‥‥責任取ってもらわねーとダメなやつだな」
「へ??」
先生はあたしの席に乗り上げてきた。
やばい、やばい。
なんか良くないだろーー!!??
「待って、先生!」
「名前で呼んでみ?」
「いやだ!!」
「いやがるのも今のうちってな」
「せんせ‥‥!」
「気にするな。気持ち良くなるだけだから」
いや道徳的に考えてーー!!