それもそのはず。
長く付き合っていた恋人同士なので、落ち着けて交際していたので緊張感はまるでなかった。
けれども付き合い始めはこんなにもぎこちなくさせているのだ。
翔太の自宅で映画を観ようとGEOへレンタルに来ていた。
観るの映画は玲菜のごり押しのインシディアスというホラー映画。
「絶対続き見たくなるから!」との押しがあって、
1と2を両方貸し出しした。
お菓子も買い込もうとスーパーへ。
徐々に近くなる二人は若干ピタッとくっついて買い物をしていた。
そこへおばさんが横を通って玲菜にぶつかった。
「危ない!」
玲菜の手を引き、自分の胸で受け止めた。
「あら、ごめんなさいね」
「いい、え…」
「あ…」
そこで気づいた。
翔太は思わず玲菜の胸に手が触れていたことに。
「ごごごごめん!!」
「いいいいえ!!!!!」
お互いに良い年なのに、今さら恥ずかしがる。
別に処女でも童貞でもない。
しかし。
いつになっても露骨だと恥ずかしいものだ。
そう、改めて認識した。
レジに並んでいて、歩いていて、
玲菜はどこか翔太の出す距離感が気になった。
―あたし…貧乳過ぎだから土浦くんに引かれた!?
確かに玲菜は胸に自信はない。
豊かでもない。
なんだか…この後の気まずさが怖かった。
レンタルもようやく終わり、翔太の自宅に着いた。
翔太はレンタルしたDVDをセッティングしており、玲菜は買ってきたお菓子を振り分けている。
「よし、坂口、準備いいぞ!」
「おっけー。じゃぁみよっか!」
最初は翔太だけ怖がっていたが、進むにつれて怖がり出した玲菜に、
翔太は「かわいい」とずっとながめていた。