まずい。この騒ぎにこの変態男の仲間が集まってきた。
「どうしたー?」
「なになにこのさわぎは」
「おーおー聞けよ。このじいさんが俺をなめてかかってんだよ」
「誰だそい…………つ!!!」
仲間のひとりは、おじさんの顔を見てひるむ。
「おいこっちこいや!」
「やめとけ
“昇”という人か。
覚えておこう。
この怖いおじさんにむかって言うだけ言える人だってことを。
………
………
「さ、お嬢帰りましょう」
「うん。ねぇおじさんはすごい人なの???」
「うん?そんなことはないですよ」
「だってさっきの人たち帰ってったよ」
「若い頃の私を知っているのでしたら、帰りますね」
「自慢?」
「ははっ。そういうことでもないですよ」
なんでもよかった。
叔父さんがそばにいてくれるだけで。
…………
…………
あれから数年。
叔父さんと過ごす日は幸せ。
あたしは大学に入って、叔父さんの手料理を食べられるし、一緒にご飯を食べればどんなにつらいことがあったとしてもあたしは幸せだとハッキリ言えるだろう。
叔父さん一色だから、ね。
ただ怖いことはある。
それは、叔父さんがいつかいなくなってしまう日が来るんじゃないかって。
ただでさえあたしの実家は極道一家だから、
変な人に目をつけられたり、何かしらの報復を受ける人だっている。
あたしはそういう人たちを知ってるから怖い。
「お嬢?具合でも………」