栞さんの裸体は、これまで僕が見てきたどんな人の体よりも、綺麗だった。
細くたおやかで、白くて、いい意味で丸みがあった。こんなに綺麗な人がいるのか、と僕はひどく驚かされてしまった。
その彼女が、今自分の体を慰めている。その光景は、とても背徳的で、とても美しかった。
その体を見つめているだけで、僕のペニスはかつてないほど固くたぎっていることに気付いた。
自分のペニスに手を添わせると、それがまるで彼女の手に包まれているように錯覚した。
画面越しに、彼女の熱が伝わってくるような気がした。
ほんの少し上下させるだけで、いつもとは全く違った感覚が体の中を駆け抜けていった。
「すごい、ですね」
「はい、オンラインセックスって、こんなにすごいんですね」
僕の言葉に、彼女は恍惚とした表情で答えてくれた。
彼女も、少なからず僕と同じような感覚を抱いてくれているのだろうな、ということは伝わってきた。
「なんか、栞さんに触ってもらってるみたいで……」
「私も、そう感じていました」
僕は思わず、画面に手を伸ばしていた。
そうすることで、彼女に熱を届けられるような、そんな気がしたのだ。
「胸、触りたいんですか?」
彼女はいたずらっぽい微笑みを浮かべたまま、そんなことを僕に聞いてきた。
「ぶっちゃけると、触りたいです」
僕が隠しきれない恥ずかしさをにじませながらそう答えると、彼女はまた、いたずらっぽく笑って自分の手で乳房をつかんだ。
「どうですか?柔らかさ、伝わりますか?」
「……はい」
Dカップくらいはあるのだろうか。
指の間から零れ落ちるふくらみが、その柔らかさを余すところなく伝えていた。
画面越しでも、そのみずみずしさと感触はリアルに感じられて、僕の欲望はより固さを増していった。
「ん、んんぅ……」
彼女は自らの乳首をいじりながら、声を上げていた。その吐息はイヤホンを通じて、僕の耳に至近距離で響いてきた。
まるで耳元でささやかれているように感じて、耳から続々と快感が押し寄せてきた。
こんな快感は、リアルでセックスをした時にも感じたことはなかった。
「んふぅ……」
吐息。それが、耳に届く。
まずい。
そう思ったときにはもう遅かった。
「はぁっ!」
その吐息だけで僕は絶頂してしまった。
ネットスラングで、「耳が
それくらい、イヤホン越しに聞こえる情熱のこもった吐息は、
思わず僕は大きな声を上げてしまったせいか、彼女は少し驚いたような表情をしていた。
「もしかして、もうイッちゃったんですか?」
彼女は少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうに、そんなことを僕に聞いてきた。
「恥ずかしながら……」
僕はこんな早漏ではなかったはずだ。
誰かとセックスしたときでも、こんなに早く絶頂を迎えたことはなかった。
最近一人でした時でも、そんな風に絶頂してしまったことはなかった。
「その、なんというか」
「なんというか?」
「僕、思ったより耳が弱かったみたいです」
彼女の吐息が、耳元で響く感覚は、これまで味わってきたどれとも違った。
僕はこの時まで、耳が性感帯になりえるなんて言うことを知らなかった。
これまでも耳元で快感を伝えてくれた人がいた気はする。
それでも、こんな快感を味わったことは、これまで一度たりとも、なかった。
「じゃあ、今度会うときも耳を攻めればいいんですね?」
「今度、会うとき」
彼女が何気なく言った言葉を、僕は繰り返してしまった。
すると彼女と僕の時間は少しだけ止まった。
最初に動いたのは、彼女だった。