「翼さん!!」
「あ、えーっと…」
「朱音です」
「朱音ちゃん。どうした?」
「今日の打ち上げには絶対来てください!私。、何時まででも待ってます」
「ごめん」
ストレートな翼にタジタジになる。
「考えてみてもくれないのですか…?」
「うん。ごめんね。今日はむりなんだ」
「何か大事なお仕事ですか?」
「うーん。プライベートだから」
「好きな…人ですか?」
図星を刺されてしまい、ドキッと驚いて妙な汗をかいた翼。
見逃さない朱音はすかさず突っ込んだ。
「好きな人なんですね…」
「いや、その、まぁ、だね……」
「もういいです。わかりました。あの、この差し入れだけ受け取ってください」
そういう朱音はカップコーヒーを渡した。
多少眠気があった翼は、「助かる」と言って受け取った。
お礼を言い終わると同時に即飲み干した。
それを見届けた朱音は、満面の笑みだった。
「おいしかったですか?」
「ん?あぁ、ありがとう」
「次第に気持ちよくなりますよ」
「?」
「ではまた後程、楽屋に行きますので待っててくださいね」
「でも俺は―…」
聞かずに朱音はその場から立ち去った。
それから母親にLINEを、楽屋で送信していた。
どうやらあおいは残業があるから帰りは20時ほどみたいだ。
先月購入したゴールドピンクの腕時計を、マネージャーに管理してもらっているので、
マネージャーにはLINEで「楽屋来るときはプレゼントを持ってきて」と頼んでいた。
ふとした瞬間に、ドクンと翼の鼓動が熱く跳ね上がった。
よくわからないが、ムラムラしている。
抑えようとドラマの台本を読んで集中していた。
するとノックが聞こえた。
「はい」と返事をすると、朱音が入ってきた。
「どうですか?翼さん」
「?もしかしてあのコーヒーになんか…?」
「はい、兄特製の媚薬入りコーヒーでした」
「びっ…」
「だって翼さんってば、こんなに可愛いあたしを放っておくだなんて信じらんないです。あたしとセックスしましょ?」
がちゃん、と鍵を閉めた朱音は、翼に近づき、いきなり耳をペロッと舐めた。
それだけで身震いした。
気持ちが良いのが正直なところ。
「さぁ、楽しいですよ」
朱音は服を脱ぎ、悶えている翼の前に立つ。
翼の股間は膨れてくる。
「ねぇ翼さん。あたしを愛してください」
そのままキスをしようと朱音は近寄る。
しかし、予想しない行動に出た翼。
「悪い。気分悪いから帰る。ごめんね朱音ちゃん」
「え?ま、待ってください!一緒に…」
「俺、こういうの嫌いだから」