場面は変わり、あおい側。
「うううぅぅ」
悩み中なあおい。
「悩みすぎだろ」
「悩みますよ!」
現在は仕事が終わりを迎えようとしている。
そこで優希は誕生日に一つケーキを買うと言ってもらったために考えていた。
「あんま悩むとやめるぞ」
「え!?じゃぁ、これ!!」
「珍しいな、タルトって」
「なんだかタルト見たら翼ちゃんを思い出しちゃって…これかなって」
「ふーん」
予想外だった。
こんなにも「好き好き視線」が自分ではなく他人に向かっているという状況が。
優希はかなりモテる。
だからかいつの間にか自信になっていた。
俺がこういえばこうなる、といった持論もあるがあおいの前では無効される。
だからよけいのめりこんでしまうのであった。
「買ったなら帰るぞ」
「はい!ってか村中さんは反対方向では…?」
「いいんだ。送る。どーせ帰っても一人でケーキ食うだけだろ」
「それがあたしは―…」
話の途中であおいは目を見開いて喜んだ。
視線の先にはタクシーの後部座席から飛び出てきた翼がいた。
真っ黒のサングラス、あおいが送った紫のマスク、深くかぶった帽子を見ただけでわかる。
「翼ちゃん!」
「あおいちゃん…」
「大丈夫?苦しそう…」
翼に駆け寄ったあおい。
優希はそれとなくいなくなる。
二人きりになると翼はあおいを抱きしめた。
「翼ちゃん!?」
「…誕生日、おめでとう」
「うん、ありがとう。やっぱり翼ちゃんに言われるのが一番好き」
「あんまり可愛いこと言うと、襲うよ?いや襲いそうだから逃げていいよ」
最初は驚くも、あおいはきつく抱きしめ返して言う。
「翼ちゃんならいいよ」
「…本当?」
「うん。…ずっと好きだから。あたしには翼ちゃんだけ」
「俺も。好きだよ、あおい」
身体を離して、ゆっくりキスをする。
媚薬を盛られている翼は欲情してやばい状況だ。
股間の盛り上がりに気づいたあおいは真っ赤になる。
「ごめん、気づいた?」
「え、あ、あ、うん」
「逃げて」
「…逃げれない。あたし…いいよ。翼ちゃんなら」
「本気?」
「うん」
「なら答えて」
そういうと濃厚なキスをする翼。。
背中に手を回して答えるあおいは、興奮を覚えた。
くちゅ、と水音を出しながらのキスをしていると、翼はすぐにでもセックスをしたくなる。
だが今は外だ。
「…抑えるわ」
翼は唇を開放した。
「ねぇ翼ちゃん。うち、いこ?」
「…うん」