「咲さん」
「なに……?」
感じてくれているのか、彼女の声は吐息交じりになっていた。
「俺、そろそろセックス、したいです」
「じゃあ、ここでする?」
「せっかくなので、広いベッドの上で……」
「確かに、ここだけで終わっちゃうのももったいないか」
彼女はそういって少しだけ笑った。
そして、俺のものをこする手を止めて、一度キスをして、俺の上から立ち上がった。
シャワールームで交わりあうのも、きっととても刺激的だとは思う。
でも、今日はせっかく広いベッドの上で心置きなく交わりあるのだから、それを楽しまない手はなかった。
「一応バスローブ用意はしてたけど……」
「どうせ脱ぐし、いらないでしょ」
「そだね」
俺たちは急いで体を拭いて、裸のままでベッドに倒れこんだ。
「いいね、なんか、シャワー浴びてから全裸のままでベッドに入るのって」
「そうですね」
「なんか、背徳感」
ベッドは二人で悠々と並べるくらいには広かった。
前にしたのは彼女のベッドの上だったが、もちろんシングルベッド。
それと比べると大きいことは言うまでも無かった。
横を見ると、彼女は楽しそうに笑っていた。
視線を少し下におろすと、彼女のとても綺麗な体が目に入ってきて、俺のものがまた力強くなっていくのを感じた。
「そろそろ、したいなぁ、なんて」
「俺も思ってたところです」
彼女がごまかすようにいったのを聞いて、俺は急いでゴムを付けた。
自販機で売ってもいたが、持ってきていたものを使った。
「俺、ちょっと試してみたいことがあって……」
「なに?」
「松葉崩しって、知ってます?」
「き、聞いたことは……」
あ、また目をそらした。
これはよく知っているということなのだろう。
彼女は寝転がったまま、何も言わず片足を上げた。
「やっぱり知ってましたね」
「や、やっぱりって何よ!」
「いや、一人でオナニーすることもあるみたいだったから、詳しいのかなーって思って」
「なんか悔しい」
少しすねたような表情をする彼女が愛おしくて、俺はもう待っていられなかった。
彼女が上げた足をもって、もう片方の足を自分の足で挟んだ。
少しだけ彼女の体を傾けると、挿入しやすくなった。
「挿れますね」
「うん」
俺はゆっくりと自分のものを彼女の中へと滑り込ませていった。
初めての体位だったからなかなか難しかったけれど、無事に奥まで入り切った。
「んんっ……、すごく奥まで入ってる気がする……」
「俺も、です……」
彼女が感じているものと同じかは分からないが、自分でも深くまでくわえられているような感覚があった。
とても、奥まで彼女とつながっていることを感じる。
挿れただけで、もう絶頂してしまいそうなくらい、それは気持ちよかった。
「動いても、いいですか?」
「うん……」
彼女が頷いたのを確認してから、俺は腰を動かし始めた。
「あ、あぁ……」
俺のか、彼女のかは分からない。
もしかしたら両方の声かもしれない。
一度動いただけで、その感覚は強く体を貫いていった。
俺はその一度で、もう夢中になってしまった。
「ん、んう、んうう」
思わず吐息が漏れてしまうけれど、そんなことはもう構っていられない。
俺は何度も何度も彼女の腰に自分の腰を打ち付けた。
勢いはどんどん増していく。
「あぁ、はぁん、だめっ!」
「何が、ですか」
「気持ちよ過ぎて、壊れちゃうぅっ!」
彼女はそんなふうに絶叫しながら、腰をヒクヒクと
もしかしたら、もう何度か彼女は絶頂を迎えているのかもしれない。
とはいえ、それでやめるはずはなかった。
「もっと、気持ちよくなってください」
俺はさっきまでよりももっと奥までつけるように、腰をより強くそらせた。
「ああああっ!」
彼女の腰が、またヒクヒクと痙攣した。
その痙攣で、俺のものも振るわされ、刺激はより強くなった。
「気持ち、いいですっ!」
パン、パン。
高い音が何度も何度も鳴り響いた。
次第に体が汗ばんでくるけれど、それもまたいい。
俺は、持ったままの彼女の足のふくらはぎを舐めた。
「んんん、だめぇ」
彼女の声はもう、完全にとろけてしまっている。
目もとろんとしていて、もう完全に快楽の底に沈んでしまっているのが見て取れた。
でもきっと、俺の目ももう、獣みたいになっているんだろうな、ということがわかるくらいには、自分も性欲に支配されていた。