恋のはじまり

高嶺の花

‥‥‥

翌朝、俺は本当にくるかどうか知らんやつのためだけに掃除を始めた。

昨日からやれって話だったけど、今日が仏壇人の誕生日だから、しかたねー‥‥‥。

そうだ。仏壇人の話はまだしてなかったな。

それは俺の両親だ。

俺の両親はだいぶ昔に交通事故で亡くなってる。

「‥‥けっ。かったりーや」

両親の写真を見たら吐き気がした。

だってその事故だってうちが悪いってことで終わってんだぞ。

俺は後ろ指刺されながら生活していたんだ。

全部全部、全部全部全部、あいつらの‥‥‥

ピンポーン

「!!」

誰だよ。このイライラしてる中でやってきたのは、柊木だった。

「やほー原田ー」

「ほんとに来たんだな‥‥‥」

「よく出てくれた!そんな原田にいい話を聞かせてやるよ」

「いらねーし」

「‥‥時子ときこさんはめちゃくちゃ優しい人だった」

「!!」

待てよ、時子さんって‥‥‥俺の母親も同じ名前で‥‥‥?
………

………
「君のせいじゃない。ずっとそう言ってた。それに孝介こうすけさんも」

「‥‥‥っ」

 

こいつ、なんで俺の両親のこと知ってんだよ。

なんで?いつ?しかもこいつのせいじゃないって何を言ってんだ?

 

「君のせいじゃない。だから、これからは私たちの代わりに温人を守ってあげて」

「!!!!!」

「それが二人の‥原田の両親の遺言」

「なんで‥‥‥」

「あの事故は俺の姉ちゃんのせいなんだ。無免許で友達と車運転してて、原田の両親の車と正面衝突した。
止めに入った俺はなんとか意識あってさ‥‥‥姉ちゃんと友達は意識不明だった。
だから何回も謝ったんだ。泣いてる俺を目の前にして、何も責められなかったんだ」

「お前の姉ちゃんは‥‥‥?」

「無事だよ。ただ記憶障害が残って、当時は覚えていない。立ち悪いよね」

「いや‥‥それはそれでよかった、と思う」

「優しいな、原田家は。いいなぁ」

「‥ソファ。座れよ。茶ぁ出すから」

 

俺は何も言えない。

当時のことを‥‥考えれば俺でもよくわかる。

あの両親だから、あいつの姉ちゃんのせいにしたくなかったんだろう。

そうしたら悪い雰囲気ができあがってしまうから。

なんていうか‥‥‥らしいなぁ。

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