恋のはじまり

地下鉄アイドルの欲求不満

ここだとあたしの直感が言った。

「はい、兄です!」

この日あたしは神様をあがめた。

生まれて初めて。

「大好きです…………っ!」

「それは兄に言ってください!というか自宅はどこですか?ここ麻生ですけど」

「実は平岸なんですよ…………」

「あたしは麻生です。よかったら泊っていきますか?ファンのみなさんには兄のこともっと知ってほしいです。」

「いいんですか!?」

「はいっ。では、麻生の2番出口の地上で待ち合わせです。それか…………危ないのでミスダにいた方がいいかもですね!」

「はい!」

「私は石山あおいです」

「あたし、は、神村瑞樹(かみむらみずき)です!」

「敬語はしなくても良いです。私のは癖ですが」

うわーーーかわいいーーーー

「うん、あおいちゃんね!」

「はい、瑞樹ちゃん」

こうしてあたしは、憧れのあの人に一歩近づきました。
………

………
こんなことってある!?

しかも妹さんと仲良くなれるとか、出逢いの道が…………

道が開かれたぞ…………っっ!!

「待ってろミスダーーーー!!!」

あれ、なんか違う。

…………

…………

…………

「瑞樹ちゃん!」

「ん…………」

「だめだ……お兄ちゃん、おんぶ」

「へいへい」

なんだか暖かいなぁ。

ホカホカしてて、いい匂い。

なんだろ…………このにおいは…………

うーんお腹減った。

あ、わかった…………

これさ…………

絶対………

「トウモロコシのにおいだ!!!」

「「!!」」

あたしまた寝て…………た…………!!??

誰かの背中が、

トウモロコシの男性の背中におんぶされてる!!

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