「……いいよ。私で、もっと気持ち良くなって」
私は彼の腰に足を絡め、身体を密着させた。
「私のこと、堕としてよ」
耳元で囁いたとき、ぐんっと最奥を突きあげられた。
「あぁっ!」
がつがつと身体を貪られ、打ち付けられた皮膚が火照る。
しつこくナカを掻きまぜられながら
肉壁をごりごりと擦り上げられるのがたまらない。
そして、ゆっくりと引き抜かれた男根が再び一番深いところを目指した時
これまでとは違う絶頂を感じた。
「ひぁっ、ああぁっ! イクぅっ!」
視界がちかちかと白み、きゅうぅぅと彼を締め付ける。
私のナカでびくびくと脈打ち、
それが静かになる前に和志は私に覆いかぶさる。
「ずりぃよ。英恵ねーちゃん。もっと時間をかけて、俺以外見えないようにしたかったのに」
荒い息を落ち着かせた和志は悔しそうに睨む。
その表情は、少し子供っぽくてかわいいけれど、
口にしたら不機嫌になるだろうから黙っておくことにした。
「私は……最初からよそ見なんてしてないよ」
「は?」
「別に、あの時だってはぐらかしたつもりなんてなかったもん」
………
………
………
――六年前。
高校卒業と同時に都内に就職先を見つけた私は
「親元から離れて東京で遊ぶ気だろう!」
と親戚中からやり玉に挙げられていた。
そんな中、当時小学生だった和志が私の元へ訪ね
「もう帰ってこないの?」
と聞いてきた。
「どうだろう。できればそのつもりだけれど」
「……じゃあ。俺も一緒に連れてってよ」
思いがけない提案に、
少し驚き「無理だよ」と笑おうとして
できなかった。
「英恵ねーちゃんが出て行きたいのはわかるけど、
離れたくない。一緒にいてよ。俺の傍に、いてよ」
生意気盛りの和志が、
真剣な眼差しで、涙をこぼしていた。
口を開けば憎まれ口を叩く義理の従弟。
私よりも生き方が上手いはずの彼が、
自分にそんな思いを抱いているなんて、
考えてもみなかった――
自分だけだと思っていたから。
「……連れていくことはできないよ。
でも、和志が私に会いたいって思ってくれるなら……。
あなたが、今の私と同じ年になっても、まだそう思ってくれていたなら、
その時は、その思いを伝えに来て。
ちゃんと真剣に考えるから」
確かに私はあの町へ帰らなかったけれど。
望みの薄い約束を、忘れたことなんてなかった。
「もう少しだけ、待ってる。和志が自分の力で
、あの町から出てきたら、その時に伝えたいことがあるの」
手を伸ばし、彼の頬に触れる。
あの時の面影を残した顔が、
目を丸くし、やがて嬉しそうに微笑んだ。
そして、伝えたい言葉を隠すために、私達の唇が重なる。