「ひが‥‥‥」
「大丈夫ではないですね。そこまでご主人様と仲が良くないなんて‥‥‥」
知られた。
ひた隠しにしていたのに、たったこれだけのつぶやきで‥‥‥。
「佐々木さん。話してください。僕、なんでも聞きますから」
そんな風に優しくされたら‥‥‥
私‥‥‥
泣いてしまう。
いや、泣いてしまった‥‥‥
「佐々木さん?」
「っく‥‥なんで‥‥‥私は‥‥‥っ」
ただただ、悔しい。
旦那は見ていればわかるくらい幸せに満ちている。
寝顔を見れば、誰だってわかるわよ。
私に隠れて不倫していることも知っている。
だけど認めることが怖くて‥‥
そんな感情が心の中を占めてしまう。
考えたくないのに。
「佐々木さん‥‥‥」
「ごめんなさい、東間さー‥‥‥」
私は涙をぬぐいながらその場から去ろう。
そう決めて立ち上がった。
けど、それよりも突然の出来事に、私はショックを受ける。
「‥‥‥僕じゃだめですか」
「!」
気が付けば私は東間さんの腕の中にいた。
「僕ならずっと‥あなたしか見ません」
ショックというのは、
この状況で私は東間さんからのこの行動を、
あからさまに受け入れてしまった自分に‥‥‥。
「私は‥‥‥結婚して‥‥‥」
「知っています」
「それに東間さんはまだ若いし‥‥‥」
「近ければ良いというものではありません」
どうしよう‥‥
妙に心臓が動いている。
旦那と出会った時みたいに、ドキドキしてるんだ。
あぁ
私はもう‥‥‥
気が付けば私は、私からキスをしてしまった。
目をつぶって触れるだけのキス。