「んっ‥‥」
それだけでおさまることがなく、
私たちはどちらかともなく次第に濃厚なキスに発展した。
会社の裏庭とはいえ、ここでこんなことするなんて。
常識人間な私には似合わない。
しかも結婚してるのに、私から不倫なんて‥‥‥
隠れたくなる一心だった。
それを伝えようと、抵抗してみた。
けれどもいとも簡単に私を押し倒してしまう東間さん。
溺れそうになる。
やっと離れた唇で、私は訴えた。
「ま、って‥‥東間さん、ここじゃ‥‥‥」
私は何を言うんだ!?
違う安全な場所ならいいの!?
何を‥‥‥
「大丈夫。ここは旦那さんに見つからないから」
そういう問題じゃない‥‥
「好きです。陽子さん」
反則だ。
反則過ぎる。
「‥‥‥はい」
私は心から嬉しかった。
こんな私でも受け入れてくれる、
存在していいんだと肯定してくれる人がいることに。
長年私は苦しかったから、認めてもらえてうれしい。
「陽子さん。
「‥?はい」
「敬語もダメ。これから僕たちは、秘密の関係になるから」
なんだか、かわいい。
「ふふっ」
「何?陽子さん」
「かわいいね。文人くん」
私はかなり久々に、心からの笑顔を出した。
東間さー‥じゃなかった、文人くんのおかげだ。
「余裕だね。その余裕をなくさせるわ」
宣言した文人くん。
私のスーツの胸元にあるボタンを外した。
ドキドキしていること、バレる。
心臓が少しだけ揺れた。
「‥‥‥陽子さん、緊張してる?」
「え」
「かわいいね」
気が付けば私の暗くさみしい感情はなくなっていた。
カァァ‥と顔が赤くなる私がいた。
その反応を見て、さっそく首筋に噛みついた文人くん。
べろっと濃厚に舐められると鳥肌が立つ。
過敏に反応してしまっているのをバレた‥‥‥