「ごめんね、私処女だって……どうしても言う勇気なくって」
「それは真希が悪いことじゃないだろ。俺ももうちょっと早く気付いてやれれば……もう少し、優しくできたと思うんだけど」
「本当に?」
痛い所を突かれたように、彼は押し黙った。
その反応がなんだか可愛く思えて、ついにやけてしまう。
シャワーを浴びて、お互いに少しだけ気恥ずかしさを残したまま、ベッドに潜り込む。
「こっちでするのが普通じゃないの?」
「いや、それはごもっとも……」
布団の中で、自然と手を繋いだ。
疲れのせいか、温もりのせいか、自然と瞼が重くなる。
「おやすみ、真希」
「こうちゃん……おやすみ」
消灯した後、まどろみの中で彼の腕に抱きついた。
今この幸せを、手放すことのないように――。
- FIN -