「飲み込んじゃうなんて……」
「佐藤さんのだから……」
彼女のその表情は、今まで見たことがないくらいみだらなものだった。
僕はその表情に、今日何度目かもわからないけれど、どきりとさせられた。
「僕だけがイかされちゃったね」
「はい」
そういう彼女のなんとなく誇らしげな表情が可愛くて。
「次は君の番」
「え、ええ?」
僕は彼女を抱きかかえて、空きデスクのところまで歩いて行った。
「よし」
彼女を空きデスクの上に寝かせた。
「固いところでごめんね」
「こ、ここは」
「ここも監視カメラには映らないところなんだ」
こういうことをするために監視カメラの場所を調べていたわけではなかったけれど、まさかこんなところで役に立つなんて思っていなかった。
僕は戸惑う彼女のストッキングとパンツを一緒にずり下した。
「だ、だめです!」
「僕のこれは舐めたのに?」
「そ、それは……」
僕がペニスを指しながら問うと、彼女は何も言えなくなった。
それをいいことに、僕は彼女の蜜壺に一本、指を滑り込ませた。
昨日爪を切っておいてよかった。
「ああっ……」
ぐちゅり、と僕の指は吸い込まれていった。
僕が指で蜜壺の中をかき回すと、彼女は声を上げた。
指を抜くと、とろりと液体が糸を引いた。
「興奮、してるの?」
「さっき私の口の中に出した佐藤さんに言われたくないです」
彼女のいじけたような表情はとても愛おしくて、僕は一度彼女にキスをした。
「んんっ」
口を離した僕は、次は下の口にキスをした。
「ん……」
彼女の吐息。
彼女の口は、上の口と同じようにねっとりと湿っていた。
彼女のそこは、あまり饐えた匂いもせず、彼女の服と同じ、洗剤かなにかの匂いが漂ってきた。
あふれ出す液体を、彼女がしたように僕も飲み込む。
甘い香りが鼻の奥を抜けていった。
今度は、それの少し上にある、固く膨れた突起を口に含む。
「そこはっ……」
舌で舐めまわすと、彼女の腰がびくびくと震えた。
僕は、執拗にそこを舐める。
その下で、指でも穴をいじった。
「ん、んんっ!」
びくん、と腰が大きく跳ねた。
「はあ、はあ……」
彼女が息切れしているのが分かった。
僕はそれに気づいて舐めるのをやめた。
「初めてです、こんなに気持ちいいの……」
「それは良かった」
彼女の表情は、本当に満足そうだった。
「ねえ、佐藤さん」
「どうしたの?」
「これで、終わり?」
「どうしたい?」
「いじわる」
今日は彼女にそればかり言われる。
自分が女性にいじわるをして喜ぶタイプの人間なのだと、彼女とこうして交わって初めて知った。
彼女が困っているその表情が、とても愛おしくて、抱きしめたくなった。
でも、僕から抱きしめる前に、僕は彼女から抱きしめられた。
「最後まで、したい、です」
耳元で彼女が小さく言うその声で、僕の中で何かがはじけた。
「ちょっとだけ待って」
僕は彼女に言ってから、自分のデスクに向かった。
財布の中にゴムがあったはずだ。財布を探すと、やはりあった。
入れてからまだ一か月くらいしか経っていないと思う。
「佐藤さん、もしかして……」
「いや、ち、違うんだよ、もしもの時のために、っていうだけで……」
本当は、もし高橋さんと付き合えるようなことがあったら、と思って入れていた、というのはさすがに言えない。
こんな妄想をしていたなんてバレたら、きっと引かれてしまう。
「実は、私も持ってたので……」
「え?」
「私、今日佐藤さんに告白するつもりでしたから……」
「僕が野獣に見えてたってこと?」
「そういうわけじゃないですけど……、って、実際そうなってるじゃないですか!」
「冗談だよ」
僕は、再び活力を取り戻していた肉棒にそのゴムを付けた。
僕の渇望もまだまだ捨てたものじゃない。
ただ、こんなに満ち溢れたことは、ここ最近はなかった。
やはり彼女への渇望はそれだけ強かったということなのだろう。
「挿れるよ?」
「はい」
彼女がそう答え、僕たちは初めて、つながった。